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学生らに紀州備長炭の特徴伝える 世界農業遺産オンラインカフェ

オンラインカフェで紀州備長炭作りについて説明する製炭士の原正昭さん(和歌山県みなべ町清川で)
オンラインカフェで紀州備長炭作りについて説明する製炭士の原正昭さん(和歌山県みなべ町清川で)
 世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」を次世代に継承していくための学習機会として実施している「世界農業遺産オンラインカフェ」(和歌山大学南紀熊野サテライト主催、まちキャンパスプロジェクト共催)の第4回が6日にあり、みなべ町清川の製炭士、原正昭さん(50)が紀州備長炭の歴史や特徴を伝えた。

 原さんは清川にある町の研修用炭窯でインターネットを通じ、和歌山大学の学生や南部高校の生徒らに解説した。

 紀州備長炭の良さは、火力が強くて長持ちすることや、原木にはウバメガシとカシ類があるが、いまは9割以上がウバメガシでカシ類は軟らかく水分が多いため、炭にしにくいことなどを説明。原木を炭に焼くと、堅く締まって、ウバメガシの場合は太さが元の3分の1くらい、重さは1トンの原木を焼くと120キロくらいになると、木や炭を見せながら紹介した。

 良い炭を焼くためには、窯の温度を冷まさずに余熱を利用することが大事で、焼けた炭を窯出しした1~2時間後、内部の温度が500度くらいの状態で、次の原木を窯の外から入れる「はね木」という伝統的な技術があると言い、道具を使いながらやり方を見せた。

 原木を入れる際には、窯の口で「あぶり木」を燃やして、内部を酸欠状態にすることで、原木が燃えずにうまく乾燥させられることや、根元を上にして細い方を下にすることで、下の方の空気の通りを良くするなど、昔からの知恵があることも伝えた。

 また、炭焼きをする人の平均年齢は30年ほど前は65歳以上だったのが、いまは50代くらいとなり、Iターン者がほとんどであることを説明。大学生からは「なぜIターン者が多いか」と質問があり、原さんは、炭焼きの仕事はきつく、地元ではそのことが知られており後継者が出てこなかったこと、Iターンで来た人でも、残った人以上に多くの人が帰っていったことなどを説明し「課題でもある」と話した。

 原さんは「炭焼きの仕事は山づくりが大切で、山から木を切り出すところから始まる。かつて原木枯渇の問題が迫り、択伐技術を生み出し、山の循環利用をしてきた」とも説明し、「次は山づくりや窯出しの体験をしてもらえれば。新型コロナが落ち着いた時には、ぜひみなべ町に来ていただけたら」と呼び掛けた。

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