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県文化財の天誅倉で防火指導 田辺消防龍神分署

消火器を点検する消防署員(和歌山県田辺市龍神村小又川で)
消火器を点検する消防署員(和歌山県田辺市龍神村小又川で)
防火指導で消火訓練も実施した
防火指導で消火訓練も実施した
 和歌山県田辺市龍神村西の田辺消防署龍神分署は22日、龍神村小又川にある県指定文化財の天誅倉(てんちゅうぐら)で、立ち入り検査と防火指導をした。

 法隆寺金堂壁画が焼損(1949年1月26日)したことを受け、1月26日が文化財防火デーに定められた。貴重な文化財を火災などから守るため、文化庁と消防庁が主唱して防火運動を全国的に展開している。龍神村内では文化財防火デーの頃、消防署員が市職員の立ち会いの下、天誅倉などの立ち入り検査をしている。

 22日は龍神分署の田上真消防司令補らが、書類に不備がないかや倉内に設置している消火器と自動火災報知設備の維持管理状況などを検査。問題はなかった。

 2019年4月にフランスのノートルダム大聖堂の火災、同年10月の沖縄県の首里城跡での火災を受け、文化庁が同様の惨事が起きないように国宝・重要文化財の建物と、保管する博物館等の防火対策ガイドラインを同年12月に公表。これを踏まえて消防庁が「国宝・重要文化財(建造物)等に対応した防火訓練マニュアル」を作成した。

 天誅倉での立ち入り検査も、このマニュアルに基づいて例年以上に時間をかけて実施。立ち会った市職員に対して周辺住民との連携や協力体制の再確認、防火意識の高揚も合わせて求めた。検査後、市職員による水消火器を使った消火訓練をした。

 立ち入り検査は28日までに天誅倉を含めて計15件を予定している。

 天誅倉は、幕末に尊皇倒幕を志して挙兵したが敗北した天誅組の志士たちが、紀州藩に自首して一時的に幽閉された農家所有の米倉。志士の気概に感動した地元住民が差し入れをしたという。

 倉の柱に天誅組の水郡長雄が辞世の句「皇国のためにぞつくす真心は神や知るらん知る人ぞ知る」を書いたという。1964年の大雨で倒壊し、後に復元された。

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