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8カ月ぶり通行、喜ぶ住民 大規模斜面崩壊した田辺市の県道

斜面崩壊した現場の対岸にできた仮設道路を走る車両(27日午前10時すぎ、和歌山県田辺市上秋津で)
斜面崩壊した現場の対岸にできた仮設道路を走る車両(27日午前10時すぎ、和歌山県田辺市上秋津で)
 大規模な斜面崩壊により通行止めとなっていた和歌山県田辺市上秋津の奇絶峡沿いの県道田辺龍神線が27日、8カ月ぶりに通行できるようになった。対岸に仮設道路が完成したためで、開通時には上手、下手側とも車両約50台が並んだ。市街地と秋津川・龍神方面を結ぶ主要道路で、地元住民らは喜んでいる。

 同日午前10時、斜面崩壊現場の上手と下手の車線に設置されていたバリケードが撤去されると、車両が一斉に通り始めた。5分間ほど車両はほぼ途切れずに続いた。

 開通前に待っていた同市龍神村福井の土木業50代男性は「この道は休日に通るだけだが、いつも遠回りをしていたのでほっとしている」。市街地にある勤務先まで車で通う秋津川の40代女性は「迂回(うかい)は狭くて走るのがつらかった。長く感じたが、通れるようになりうれしい」と話した。

 秋津川保育所では、園児16人のうち、上秋津方面の9人が間借りした上秋津幼稚園に通園していたが、30日から元に戻る。中田恵子所長は「子どもたちは2カ所に分かれていたが、来週から一緒に遊んだり、学んだりできるので喜んでいる」。一方、秋津川の道の駅「紀州備長炭記念公園」は「バーベキューや体験イベント、修学旅行のキャンセルが相次ぎ、かなりの赤字。通れるようになったのはありがたいが、新型コロナウイルスの影響で、まだ喜べない。回復に期待したい」と話す。

 上秋津にある農産物直売所「きてら」は仮設道路の完成を記念し、29日まで毎日、500円以上の買い物をした先着100人に梅ジュース1杯をプレゼントしている。



 斜面崩壊は昨年7月28日に発生し、県道が通行止めとなった。完成した仮設道路は、二つの橋を含め総延長が約260メートル。道幅は6~8メートルで、乗用車同士だと対向できる。崩れた斜面の上方では広範囲にわたって地滑りが起こっており、対策工事が続いている。

 林野庁近畿中国森林管理局などが、斜面崩壊や落石の危険性が高まった際に点灯する警報ランプを県道沿い4カ所に設置しており、「点灯を確認すれば、通行をやめ、周辺に立ち入らないで」と呼び掛けている。

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