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荒俣宏さんらが妖怪談議 和歌山で南方熊楠ゼミナール

熊野の妖怪について話し合う荒俣宏さん(左)とマエオカテツヤさん=和歌山市で
熊野の妖怪について話し合う荒俣宏さん(左)とマエオカテツヤさん=和歌山市で
 博物学者南方熊楠(1867~1941)についての研究成果を発表する第12回南方熊楠ゼミナール(実行委員会主催)が16日、和歌山市和歌浦南の健康館アリーナで開かれた。南方熊楠記念館の名誉館長で作家の荒俣宏さんらが、熊楠が関心を寄せていた「熊野の妖怪」をテーマに話し合い、約300人が聴講した。

 荒俣さんとともに妖怪談議に花を咲かせたのは、和歌山市在住の漫画家で「妖怪大図鑑」を出版したマエオカテツヤさん、南方熊楠顕彰会学術部長の田村義也さん。

 熊楠は妖怪や怪異現象に興味を持ち、実地調査や自然観察など科学的な見地から解き明かそうとしていたという。

 荒俣さんによると、日本全国ではタヌキにまつわる妖怪話が多いが、マエオカさんは和歌山では大蛇にまつわる伝承が多いと話す。マエオカさんは会場のスクリーンに妖怪のイラストを映しながら、田辺市合川に伝わる村の守り神「モリトウさん」や、足のあるヘビが見つかった話などを紹介した。

 熊楠が那智滞在中に取りつかれたと日記に書いているのが、山中で急に空腹感に襲われて倒れてしまうという妖怪「ダル」。それを恐れた昔の人は山で弁当を食べるときに一口分だけ残しておき、体が動かなくなったら食べたり、手のひらに米の字を書いて食べるしぐさをしたりしてダルを追い払ったという。

 会場には熊楠の妖怪研究を解説したパネルやマエオカさんのイラストが展示され、来場者の関心を引いていた。座談会に先立ち荒俣さんは「南方熊楠に何を学ぶか 図譜と図鑑」をテーマに講演した。

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