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自然共生サイトに認定 環境省、海域「南紀田辺 新庄の里海」和歌山

「自然共生サイト」の認定証を手にする新庄漁協の橘智史組合長(右)ら=18日、和歌山県田辺市新庄町で
「自然共生サイト」の認定証を手にする新庄漁協の橘智史組合長(右)ら=18日、和歌山県田辺市新庄町で
 和歌山県田辺市の新庄漁協とトヨフジ海運(愛知県)が生態系の保全・再生に取り組んでいる新庄周辺海域「南紀田辺 新庄の里海」が、環境省の「自然共生サイト」に認定された。18日に新庄漁協事務所で認定証の授与式があった。


 環境省は、企業や民間団体などが管理し、希少な動植物が生息するエリアを昨年度から「自然共生サイト」として認定している。全国で328カ所あり、県内では「新庄の里海」を含め4カ所。海域の認定は全国的にも少なく、近畿では59カ所中4カ所のみ。

 新庄海岸は、田辺湾の最奥部に位置する。リアス海岸で、藻場や干潟、小規模なサンゴ群集などに多様な海洋生物が生息するほか、渡り鳥の越冬地にもなっている。地先では漁業が営まれ、地域の生活とも密着。漁業体験やカヤックツアーなどで観光客も訪れる。サイト周辺には国指定天然記念物の神島もある。

 新庄漁協では特産品のヒロメを中心に、海の保全と利用の好循環の仕組みづくりを進めてきた。藻場の保全・再生によるJブルークレジット(二酸化炭素の吸収・貯留量をクレジット化したもの。ため込まれた二酸化炭素の量に価格がつけられ、売買される)の認証を目指しているほか、学びや体験の場としての活用を図っている。

 認定証を受け取った新庄漁協の橘智史組合長は「受け継がれてきた自然を、より良くして次世代に渡したいと取り組んできた。企業パートナーを得て、さらに活動を広げられる」、トヨフジ海運企画・管理本部の鈴木省三本部長は「共同活動は、私たちにとって学びが多い。ネットワークの広がりを感じている」と喜んだ。

 環境省近畿地方環境事務所長の伊藤賢利所長は「海域の自然共生サイトはまだまだ少ない。引き続き保全に頑張ってもらい、地元にも里海の良さを広めてほしい」とエールを送った。

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