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船で支援物資輸送を 命のみなとネットワーク、和歌山県紀南で初訓練

訓練で支援物資を台船に積み込む関係者(17日、和歌山県新宮市で)
訓練で支援物資を台船に積み込む関係者(17日、和歌山県新宮市で)
 海上輸送による災害対応支援のため、国土交通省や沿岸自治体などでつくる「和歌山県『命のみなとネットワーク』推進協議会」が17日、新宮市と那智勝浦町で船を使った支援物資輸送訓練をした。協議会の訓練は今回で3回目だが、紀南地方では初めて。

 協議会は、気候変動の影響などによってこれまで経験したことがないような災害が増える中、陸路の分断などを想定して港の機能を活用した地域間連携を構築・強化したいと2023年2月に設立。物流関係の港がある和歌山市から新宮市までの沿岸14市町と県、国土交通省、日本港湾空港建設協会連合会で構成している。

 今回の訓練は、台風接近に伴う記録的大雨により大規模な土砂崩れが発生し、国道42号が寸断され、那智勝浦町の宇久井地区が孤立したという想定で取り組んだ。

 新宮市の田岡実千年市長や那智勝浦町の堀順一郎町長ら関係者約70人が参加した。国交省の古土井健・近畿地方整備局港湾空港部長が「1年前の能登半島地震では道路網が寸断され、海路を使った輸送がより一層着目されており、紀伊半島でも重要性は同じ」とあいさつ。田岡市長は「30年以内の発生確率が80%といわれている南海トラフ巨大地震が起きれば、港が果たす役割の重要性はより大きくなる。訓練を通じて地域間連携を強化し、災害対応能力の向上を図ることが住民の命を守ることにつながる」と呼びかけた。

 当初は新宮港でクレーン付き台船に新宮市などからの支援物資を積み込み、宇久井港に海上輸送して陸揚げする予定だったが、波が高かったために海上輸送は中止。それぞれの港で別の船を使って訓練をした。

 協議会事務局の近畿地方整備局和歌山港湾事務所の藤本光明所長は「孤立集落が発生した場合には、能登の地震のように海上輸送が最善の手段と考えている。来年度は日高港(御坊市)と文里港(田辺市)をつなぐ訓練を実施する予定」と話した。

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