和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

寒風の中、勇壮に 水門祭で串本町大島にぎわう、和歌山

激しく水しぶきを上げながらこぐ若者(いずれも和歌山県串本町大島で)
激しく水しぶきを上げながらこぐ若者(いずれも和歌山県串本町大島で)
的を狙い矢を放つ弓頭
的を狙い矢を放つ弓頭
紙吹雪を散らし場を盛り上げるそろばんを持った商人
紙吹雪を散らし場を盛り上げるそろばんを持った商人
 和歌山県串本町大島で8日、県無形民俗文化財の「水門(みなと)祭」が営まれた。寒風が吹き付ける中、さまざまな行事が繰り広げられ、多くの見物人でにぎわった。


 豊漁や商売繁盛などを祈願する水門神社の例祭。主祭神の誉田別命(ほむだわけのみこと)が紀伊大島近くの通夜島に立ち寄った際に島民が船で出迎えたという由来に基づいている。これまで祭りは4地区による当番制で営んでいたが、人口減少や高齢化で今年は区全体で取り組んだ。

 行事は水門神社の境内や大島港であった。神社では午前10時過ぎから2人の弓頭が6本ずつ矢を放つ「お的の儀」があり、的に当たると見物人から拍手が起きた。神前では氏子らを招いてお神酒や料理を振る舞う「大座の儀」があり、にぎわいを見せた。勇壮な獅子舞もあった。

 午後からは神職や氏子らが行列を作り、ご神体を当船に載せ、神社から大島港に運んだ。その後、お旅所の苗我島に向かい、お的の儀を営んだ。

 大島港では、「鳳(おおとり)」「鶽(はやぶさ)」の2隻の船が約3キロの距離で速さを競う「櫂伝馬競漕(かいてんまきょうそう)」があった。それぞれの船に地元の若者や航空自衛隊串本分屯基地(串本町須江)の隊員16人が乗り込み、大きな掛け声とともに櫂をこぎ、水しぶきを上げながらレースを繰り広げた。

 勝利した「鳳」のかじ取り役である「艫櫂持(ともがいもち)」を務めた稲田駿也さん(23)は「みんなが力を貸してくれたので感謝しているし、うれしい気持ちでいっぱい。歴史のある祭りで多くの人が見に来てくれていて緊張した」と話した。

 その後は色鮮やかな衣装を着た役者らの行列が大島港に設置された「お山」の周りを3周して、当船の到着を待つ「つるの儀」があった。そろばんを持ち、化粧をした「商人」が市場を開き、商売が成立すると紙吹雪が舞う場面もあり、場を盛り上げた。

 当船が到着すると、お山が倒されて飾られていた鏡の取り合いが始まった。鏡を取ると豊漁が続くとされており、激しくもみ合う様子が見られた。

 水門祭保存会の吉田慎二会長(57)は「風が強かったり、前日の宵宮では雨が降ったりして大変だったが、無事終了できてほっとしている。人が少なくなっている中でも若い人が頑張ってくれているので、これからも祭りを続けていきたい」と語った。

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