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安住紳一郎、選挙報道を通して“マスメディア論”「作業を丁寧に重ねていきたい」 テレビ局のジレンマも告白

安住紳一郎アナウンサー(C)ORICON NewS inc.
安住紳一郎アナウンサー(C)ORICON NewS inc.
 TBSの安住紳一郎アナが、18日放送の同局系情報番組『THE TIME,』(月~金 前5:20)に生出演。17日に行われた兵庫県知事選について語った。

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 安住アナは「きのう、兵庫県の知事選挙が行われました」と切り出すと、選挙結果について報告。「一体、どの情報を信じていいのかわからない。地動説と天動説くらいだと言った方がいらっしゃいますが、みなさんもこういう選挙、初めて見たのではないかと思います。私もそうでした」との気持ちを打ち明けた。

 続けて「そして、テレビメディアに対する批判も十分に自覚しているつもりです。みなさんがやはり、テレビに物足りなさを感じている。SNSと比べて、などなどあると思います。私も放送局で働くひとりとして、きのうの夜からずっと考えました。やはり情報番組を担当している司会者として、選挙になりますと、やはり候補者を公平に扱う、そういう決まりがある中で、なかなか選挙の情報について、一番欲しい時に放送できないというジレンマもありながらですが…」と前置きし、このように語った。

 「やはり、NHK党の立花さんが後半になって、独自の主張を展開し始めた辺り。これが本当のことかどうかわかりませんが、その辺りで私達もきちんと、何が起こっているのかを、報じるべきだったと思います。そして、もうひとつは局長の死についてですが、死をもって抗議するという遺書の内容が一体何を意味するのかを、もう少し報じるべきだったと思っています。SNSと同じようなことは今のテレビにはできませんが、やはり、プライベート、さらには裏を取ること、そして公平にということで、信頼感のある情報を、SNSと並んで、選択肢として選んでもらえるように、もう一度、作業を丁寧に重ねていきたいと考えています」

 安住アナは、7月に行われた東京都知事選挙における報道をきっかけに、TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』(毎週日曜 前10:00)内で、選挙期間中の複雑な胸中を語ったこともあった。「本来ですと候補者の紹介などをするべきなんですけれども、たくさん出ているので申し訳ないんですが、全員平等にということが原則になっていますので、ラジオの場合だと名前などは読み上げず、ホームページでご覧くださいということになっています」と切り出し、次のように語った。

 「なかなか最近は選挙のことについて扱うのがナーバスになっているという、そういうような一面もありまして、そこを本来挑戦するのが私たちの仕事じゃないかというようなそういうご意見も頂戴しますが、なかなか置かれている状況厳しく、私も働いているひとりとしてこの時期になりますと、悶々とするようなところありますが。前も話したと思いますけれども、当然ラジオ・テレビの場合は、選挙期間中のこういう情報の扱いというのが、非常に平等といいますか、いろいろさまざま…ちょっと言い方難しいので、ごめんなさい。ちょっと、省略させていただきますけれども、そしてどんどんどんどん厳しくなっているような実感がします」

 続けて「私が働き始めた25年くらい前までは、もう少し違ったような状況なんですが、ちょっと正直申し訳ないですが、申し訳ないって言い方違うな。正直、どんどん悪い方向に行ってるなという感じはするので、放送局で働いている若い人たちを中心に意識改革が必要だなというふうに感じています。で、結局、何も言わないという。申し訳ない」とも口にした。

 アシスタントの中澤有美子が「中立を非常に求められて難しいところですね」と呼びかけると、安住アナは「そうですね。ただ中立って言ってますと何も言えなくなってしまって、何も放送しないということで、結局皆さんのところには何の情報も届かないということになって、一体誰がそれで得をしているんだという現状があります」と指摘。「もともと放送法の4条というのは、アメリカをモデルにして作られたんですけれども、アメリカはもうその法律を下げてるんですよね」としながら、次のように呼びかけていた。

 「たまに復活させようなんていう声も出てくるわけですけれども。インターネットとかチャンネルが増えたということで、放送局がずっと公平を守っているというのも違うんじゃないかということで。アメリカはもうすでに変えているということなんですけど。ただ一方、放送局もそういうような平等というものの壁があるので、逆にこれで少しメッセージ性のある放送を出すと、それはそれでいろんな意見が来ちゃって、結局自分のところでオーバーヒートしちゃうということもあって。これが現状、日本はベストじゃないかという、当然そういう意見もあるようですけれども。今後10年くらいで、もしかすると何か変わっていくかもしれませんね」

 2020年、齋藤孝氏との共著『話すチカラ』を刊行した際、安住アナにインタビューを行った。その際、情報番組における“言葉の力”について、次のように語っていた。「出している情報はほかの番組と同じで、独自の情報がたくさん出ているわけではないので、結局情報の伝え方と見せ方と並べ方で違いが出ます。同じ商品を売っているけど、接客態度と包装紙とお店のランクで違いが出るようなもので、情報番組も、きちんと注意をして作業をすれば、よりよく伝わる。今のように世の中が混乱している時は、本当にリーダーの一言、前に出てしゃべる人の一言で変わります。本当に言葉には力があるんです」。言葉の力を信じて、安住アナは日々の放送と向き合っている。

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