南海トラフの現状話す 串本で地質学者の木村さん
和歌山県串本町潮岬の南紀熊野ジオパークセンターで11月30日、地質学者で東京海洋大学特任教授の木村学さんが「プレートテクトニクスの最近動向と南海トラフ・日本列島」と題して講演した。最新の研究データを基に「南海トラフの詳細な変化が観測されるようになってきたが、短期狭空間予測は困難で『災害は忘れた頃にやってくる』ということを肝に銘じて日々暮らしていくことが大事」と約90人の来場者に呼び掛けた。
木村さんは、多くのプレートで構成された地球表面の動きを説明するプレートテクトニクス理論は半世紀前に生まれた新しい理論で、地球内部透視や地震と測地観測の長足の進歩により飛躍していることを紹介。「すれ違う、ぶつかる、離れる」というプレート境界で起こる運動で説明がつくことも分かりやすく説明した。
南海トラフの動きについて、衛星利用測位システム(GPS)データから、南海トラフに沈み込むプレートの動きによって、その上に載っている紀伊半島や四国も年間数センチの規模で北西に移動していることを解説。「限界が来ると一気に南東側に押し出されることが予想できる。地震予知はできないが、時々刻々その日が近づいていることと、どこが危ないかを教えてくれている」と指摘した。
自身が携わる地球深部探査船「ちきゅう」の成果についても話した。2016年4月1日、掘削孔設置の観測計が南海プレート境界で72年ぶりに発生した地震による圧力変動を観測したこと。10年前に先端プレート境界の断層を回収して厚さ数ミリの黒い筋を発見、ここに含まれる微量の石炭を解析して300度を超える高温にさらされたことが分かり、これが地震で滑った痕跡であると突き止めたことも紹介した。
このほか、大地が動くことを最初に明確に示したのは、20世紀初めのドイツ人気象学者ウェデナーで、違う大陸で出土した同じ化石をもとに大陸は一つだったと推測したという。時代背景もあってすぐに欧米の研究者には認めてもらえなかったが、米軍が戦争のために海底を徹底的に調査してまとめた結果が、この説を裏付けることになったことも付け加えた。
木村さんは、多くのプレートで構成された地球表面の動きを説明するプレートテクトニクス理論は半世紀前に生まれた新しい理論で、地球内部透視や地震と測地観測の長足の進歩により飛躍していることを紹介。「すれ違う、ぶつかる、離れる」というプレート境界で起こる運動で説明がつくことも分かりやすく説明した。
南海トラフの動きについて、衛星利用測位システム(GPS)データから、南海トラフに沈み込むプレートの動きによって、その上に載っている紀伊半島や四国も年間数センチの規模で北西に移動していることを解説。「限界が来ると一気に南東側に押し出されることが予想できる。地震予知はできないが、時々刻々その日が近づいていることと、どこが危ないかを教えてくれている」と指摘した。
自身が携わる地球深部探査船「ちきゅう」の成果についても話した。2016年4月1日、掘削孔設置の観測計が南海プレート境界で72年ぶりに発生した地震による圧力変動を観測したこと。10年前に先端プレート境界の断層を回収して厚さ数ミリの黒い筋を発見、ここに含まれる微量の石炭を解析して300度を超える高温にさらされたことが分かり、これが地震で滑った痕跡であると突き止めたことも紹介した。
このほか、大地が動くことを最初に明確に示したのは、20世紀初めのドイツ人気象学者ウェデナーで、違う大陸で出土した同じ化石をもとに大陸は一つだったと推測したという。時代背景もあってすぐに欧米の研究者には認めてもらえなかったが、米軍が戦争のために海底を徹底的に調査してまとめた結果が、この説を裏付けることになったことも付け加えた。