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年内にも有人の実証実験 「空飛ぶクルマ」実用化で3社と協定、和歌山県

空飛ぶクルマの発着場のイメージ(和歌山県提供)
空飛ぶクルマの発着場のイメージ(和歌山県提供)
 次世代の乗り物として期待されている「空飛ぶクルマ」の和歌山県内での実用化に向け、県は年内に有人の実証実験を始める方針を示している。


 「空飛ぶクルマ」は垂直に離着陸する小型の航空機で、滑走路が不要で騒音が少ない特長がある。交通の便が悪い地域での移動や、災害時の孤立集落の支援、観光などの活用が期待される。

 県は実用化を目指し、昨年2月、総合建設コンサルタントの長大(東京都)と連携協定を結んだが、さらに推進しようと今月5日、新たに総合重工業会社のIHI(同)、南海電気鉄道(大阪市)を加えた3社と協定を締結した。

 県は来年の大阪・関西万博で実証運航し、万博後には県内での実用化を目指している。

 IHIは発着場の設計や建設など▽長大は発着場の場所の設定など▽南海電鉄は空飛ぶクルマを活用した観光の提案や、自社の鉄道、バスと連携した交通利便性の向上などで協力するという。

 締結式は県庁であった。岸本周平知事は3社との協定に「より和歌山県の上を飛ぶ実現可能性が高まる」と期待を寄せた。さらに、能登半島地震のように、南海トラフ地震でも県内で孤立集落が多く発生すると想定されるとし、空路を使った支援の方法を検討したいとした。長大の野本昌弘社長も「空飛ぶクルマを一日も早く実用化させ、災害時に孤立集落へのさまざまな支援ができるようにしたい」と話した。

 IHIの土田剛副社長は「日本の地方自治体のトランスフォーメーション(変革)のモデルになると信じていて、一翼を担えることは誇りに思う」。南海電鉄の岡嶋信行社長は「蓄積したノウハウを大いに活用し、果たすべき役割をさまざまな角度から検討したい」と話した。

 岸本知事は、年内にも行う実証実験の1号機に搭乗するという。県によると現在、発着場の候補予定地を選定中。書面調査を含め約30カ所を調べた上で、絞り込みをかけている。

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