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ニホンウナギの人工ふ化、初期飼育成功 近大水産研究所

40日齢のニホンウナギの稚魚(近畿大学提供)
40日齢のニホンウナギの稚魚(近畿大学提供)
 和歌山県白浜町の近畿大学水産研究所は1日、絶滅危惧種に指定されているニホンウナギの人工ふ化と50日間の初期飼育に成功したと発表した。今後は「シラスウナギ」と呼ばれる稚魚まで育てることを第一の目標とし、その後、完全養殖を目指して研究を続けるという。

 水産研究所は白浜実験場(白浜町)で1976年にウナギの種苗生産研究を開始し、84年と98年に採卵・ふ化に成功したが、餌を食べるまでに至らず研究は中断していた。

 今年3月、水産研究所の浦神実験場(那智勝浦町)が、これまで完全養殖を研究室で成功させた国立研究開発法人の水産研究・教育機構(横浜市)の技術情報を基に、ウナギの人工種苗生産を目指して研究を再開した。

 6月から雌雄の養殖ウナギを親魚候補として成熟させ、9月11日に3匹の雌から合計約60万個の卵を採取し、人工授精することができ、約4万匹の仔魚(しぎょ)が誕生した。

 さらに9月18日には1匹の雌から約40万個、10月3日には2匹の雌から合計約70万個の卵を得て、それぞれ数万匹超の仔魚をふ化させた。

 仔魚の一部には、ふ化後7日目から給餌を始め、現在50日齢仔魚(全長約20ミリ)が約20匹、43日齢(約18ミリ)が約100匹、28日齢(約12ミリ)が約千匹、順調に成長しているという。

 ウナギの国内消費量の99%以上が養殖に依存しており、養殖の元となる種苗は天然の稚魚が用いられている。しかし近年、このシラスウナギの漁獲量が激減している。

 ウナギの完全養殖を目指す研究は古くからあり、北海道大学は73年に人工ふ化、2010年に水産研究・教育機構の前身、水産総合研究センター(横浜市)が完全養殖に成功したが、大量生産ができないため、コスト面から実用化されていない。

 水産研究所は今後、所長を中心とするプロジェクトチームを立ち上げ、近大マグロをはじめとする多くの魚種の完全養殖を実現した研究所の総力を結集し、ウナギの完全養殖実用化を目指す。

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