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「新しい学校」つくろう 廃校舎活用で近く協定、田辺

旧二川小学校校舎。10年前に閉校した後も朝市などのイベントが開かれ、地域住民に親しまれている(2021年7月、和歌山県田辺市中辺路町川合で)
旧二川小学校校舎。10年前に閉校した後も朝市などのイベントが開かれ、地域住民に親しまれている(2021年7月、和歌山県田辺市中辺路町川合で)
 和歌山県田辺市中辺路町川合の旧二川小学校を活用した「新しい学校」づくりの構想が、大きく前進する。市は10日、私立小中学校の創設を目指す和歌山市の一般社団法人や地元町内会と、近く協定を結ぶと発表した。団体は豊かな自然を生かした探究型学習や多言語教育を掲げており、県内外からの入学を見込む。市は地域を活気づける起爆剤としても期待している。


 新しい学校創設の準備を進めているのは、一般社団法人「うつほの杜学園設立準備会」(仙石恭子代表)。「人とまちを元気にする学校」を目的に、グローバル(世界)とローカル(地方)の視野を持つリーダー育成を目指す。世界遺産熊野古道をはじめとする豊かな自然を生かしながら、子どもが主体的に思考を深める「探究的な学び」を実践したいという。

 定員は1学年25人を想定。そのうち半数程度は、教育を目的にした都市部からの移住者を見込んでいる。

 二川小は、児童数の減少に伴って2013年3月に閉校した。旧校舎は1983~84年度に建築された鉄筋コンクリート造り3階建てで、新耐震基準を満たしている。

 閉校後は、地域と行政がともに活用方法を模索。地元住民らが映画会や朝市などのイベントで利用してきた。そんな中、団体から新しい学校づくりについての提案があり、地元町内会も「少子高齢化が進む地域にとって、明るい話」と歓迎。昨年12月には、旧二川小校区7町内会と中辺路町自治連絡協議会の代表が市役所を訪れ、学校誘致を求める要望書を真砂市長に提出していた。

 協定では、市と団体、地元町内会の3者が連携して新しい学校づくりを通じた地域活性化に取り組むことを確認。具体的には、市が企業版ふるさと納税寄付金などを活用し、施設改修や備品購入といった初期投資にかかる費用を支援すること▽団体が学校を活用して地域コミュニティー活性化の支援をすること▽地元町内会が探究型学習のための人材や場所を提供したり、登下校時の見守りに協力したりすること―などを盛り込む。

 今後は学校設置に関する認可の手続きなどを経て、2025年度に小学校、29年度に中学校の開校を目指すという。

 真砂市長は「空き校舎の有効活用というだけではなく、地域の活性化や関係人口の増加も見込める。教育の選択肢が広がることで、地域の教育環境の充実にもつながる。ぜひ成功に導きたい」と話している。

 協定は16日に締結する予定。

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