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水道広域化で500億円削減 市町村の事業、和歌山県が50年分推計

広域化による費用削減効果の推計
広域化による費用削減効果の推計
 和歌山県は、各市町村の水道事業を、広域で経営を一体化した場合、今後50年間で約500億円の削減効果があるという推計を出した。これらを盛り込んだ「県水道広域化推進プラン」を3月下旬に策定。県は「水道事業の経営基盤強化に向け、地域の実情を検討しながら広域化を進めていきたい」としている。

 今後の水道事業は、人口減による料金収入減に加え、老朽化対策や耐震化対策などで費用がかさんでいくなど、経営上の課題が深刻化すると予想されている。

 広域化による経営基盤強化への関与を国から要請されたのを受け、県は2019年度に「県水道ビジョン」を策定した。広域化推進の方針などを示したほか、さまざまな要件を踏まえ、広域連携を検討する最大範囲として5圏域を設定。紀南では田辺・西牟婁とみなべ町を「西牟婁圏域」、新宮・東牟婁を「東牟婁圏域」とした。

 今回策定のプランでは、広域化の形態について、施設を共同化したり管理を一体化したりする「業務の共同化」から着手した上で「経営の一体化」を目指すとした。従来の広域化の主な考えは、効率化の効果が最も期待される「事業統合」だったが、域内で水道料金を同じにすると、値上げとなる地域もあるため、水道料金の統一を伴わない「経営の一体化」を目指すとした。

 その上で、24年度に広域化を実施したと仮定し50年間の財政を検討した。国交付金も考慮した「経営の一体化」の費用累計は、「単独事業」より県全体で506億500万円減ると推計。「業務の共同化」の場合でも153億8200万円減るとした。

 西牟婁圏域では「経営の一体化」の場合は69億200万円減、「業務の共同化」は12億3800万円減。東牟婁圏域では「経営の一体化」で77億1400万円、「業務の共同化」で12億7800万円の減が見込めるとした。

 県は今後、市町村と協議したり研修会を開催したりし、市町村の機運が高まれば「広域的連携等推進協議会」を設置。市町村の意向を踏まえながら広域化を支援していくという。

■減少傾向の給水人口 施設の老朽化も

 上水道事業と簡易水道事業の給水人口は減少傾向にあるが、50年後にはさらに3割減少すると予想。料金徴収対象の水量も同様に3割減る計算になるという。

 また、浄水処理施設や配水池、管路の耐震化率は全国平均を下回っており、優先順位を付けて対策を急いでいる。

 水道事業の職員数については、ここ20年で3割近く減少し、1人当たりの負担が増大している。さらに現状、40代以上が4分の3を占めていることから、20年後には大量退職が見込まれるという。

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