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「和歌山から宇宙飛行士を」 前職JAXAの藤島さん、串本古座高の専門教員に

串本古座高校に来年度に設置される「宇宙探究コース」の専門教員として配属された藤島徹教諭(和歌山県串本町串本で)
串本古座高校に来年度に設置される「宇宙探究コース」の専門教員として配属された藤島徹教諭(和歌山県串本町串本で)
 和歌山県串本町串本の串本古座高校に2024年度設置予定の「宇宙探究コース」の専門教員として新たに採用された藤島徹さん(55)がこの春、同校に着任した。藤島さんは今年3月まで、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で勤務。「和歌山県から宇宙飛行士を出したい」と意気込んでいる。

 同校普通科に設ける宇宙探究コースは、同町田原に民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」ができたことを機に計画。今年3月下旬には「宇宙ビジネス探究」「宇宙航空工学」といった「『宇宙』に関する科目」が3年間で7~11単位学習することができるカリキュラム素案を発表している。

 藤島さんは川崎市出身で、子どもの頃から車や電車、飛行機、ロケットなどの乗り物が大好きだった。次第にスピードが出る乗り物への興味が高まっていたが、高校生の時、テレビ中継で見守っていた米国のスペースシャトルの打ち上げで、チャレンジャー号の爆発事故(1986年)が発生。「安全・安心で誰もが行ける宇宙技術を開発したい」との思いから、日本大学理工学部の航空宇宙工学科に進んだ。

 卒業後は子どもの宇宙教育に取り組む公益財団法人「日本宇宙少年団」に就職し、その後、学習塾講師などを経て、一般財団法人「日本宇宙フォーラム」に転職。国際宇宙ステーションにある日本実験棟「きぼう」での実験を目指した研究のマネジメント業務やJAXAが打ち上げるロケットに相乗りする小型の人工衛星の事務局支援といった仕事をしてきた。

 その後、2度にわたってJAXAに計9年間、出向。宇宙や航空技術の分野で大学や研究機関、企業とJAXAをつないだり、大学生をインターンシップで受け入れたりする業務などを担当したという。

 JAXAへの出向期間が満了した3月末で「日本宇宙フォーラム」を退職し、4月1日付で和歌山県職員に採用された。ロケット事業を担当している県産業技術政策課の主幹と同校の教諭を兼ねており、普段は同校で勤務。「宇宙少年団にいた時から宇宙教育はやりたいことだったので、ありがたい機会を頂いた」と話す。

 来年度から始まる宇宙探究コースに向け、まずは授業のサポートなどをしながら初めての教員生活に慣れていく予定。藤島さんは「宇宙に関係する仕事に従事してもらえる人材を育成して輩出したいが、夢は大きく宇宙飛行士。宇宙を通して自分のことを自分で考え、人生を切り開いていける人材を育てたい」と意気込んでいる。

 また、この地域で「宇宙少年団」の分団をつくろうという動きもあるといい、藤島さんは「宇宙少年団の横浜分団で20年ぐらいリーダーを務めてきたので、少しでもお役に立てれば」と話している。

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