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競走馬に「梅パワー」 みなべの企業が専用サプリ開発

梅を原料にした競走馬専用のサプリメント製品を手にする細川陽介社長
梅を原料にした競走馬専用のサプリメント製品を手にする細川陽介社長
昨年12月にあったG1レース「朝日フューチュリティステークス」に出走した「ウメムスビ」
昨年12月にあったG1レース「朝日フューチュリティステークス」に出走した「ウメムスビ」
 和歌山県みなべ町晩稲の「紀州ほそ川飼料」(細川陽介社長)が、梅を原料にした競走馬の健康維持、食欲増進のためのサプリメントを開発した。同社は日本中央競馬会(JRA)の馬主にもなり、サプリを与えている同社保有の競走馬がG1レースに出走するなど活躍。そのサプリへの注目度が高まっている。


 同社は2021年に設立した。梅加工販売会社「紀州ほそ川」が中核となる「紀州ほそ川グループ」に所属。紀州ほそ川は梅酢を活用するなど、大学との研究で梅の機能性に注目した商品を開発、販売に取り組んできた歴史がある。

 紀州ほそ川の先代社長である父の代から、乗馬クラブの馬用に梅の抽出物を使った飼料を手がけてきた。父の跡を継いで、陽介さん(40)の弟で紀州ほそ川社長の達矢さん(37)が競走馬への市場開拓に乗り出した。陽介さんも加わって、昨年、競走馬専用サプリ「Vitav(バイタブ)」を開発した。

 原材料はみなべ町で栽培した紀州梅。特殊製法でクエン酸やリンゴ酸など有用成分が凝縮されており、サプリは液体。餌に混ぜたり、経口投与したりする。競走馬理化学研究所(宇都宮市)で薬物検査をしたところ陰性で、ドーピングにはならないという結果だった。


■馬が広げる梅の良さ

 陽介さんは競走馬が好きで一口馬主になっていたが、サプリの効果を自らの馬で証明しようと、21年に馬主資格を取得(後に法人名義に変更)。昨年4月に牡馬「ウメムスビ」を購入した。名前には縁を大切にしたいという思いを込めた。

 サプリを与えて育てており「毛づやも体調も良い」「餌に混ぜるとよく食べるので、よりトレーニングができる」と調教師から評価されている。昨年6月にデビューし、2勝して12月にはG1レース「朝日杯フューチュリティステークス」に出走するなど目覚ましい活躍を見せた。

 その成果から、サプリの引き合いが多くなった。一部の厩舎(きゅうしゃ)や牧場で使われているが、現在、サプリがなぜ効果があるのか詳しく研究中で、その結果が出てから本格的な販売を開始したいと考えている。

 ウメムスビの活躍をきっかけに、梅干しを食べるようになったというファンも出てきて、梅の消費拡大にも一役買っている。

 陽介社長は「日本の馬が強くなることに貢献したい。能力がありながら開花できていない馬を減らしたい。さらにサプリをきっかけに、皆さんに梅の良さを再認識してもらえたらうれしい」と話している。

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