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児童がコウゾを収穫 卒業証書を手作り、龍神村

奥野誠さん(右)から説明を聞く児童ら=23日、和歌山県田辺市龍神村東で
奥野誠さん(右)から説明を聞く児童ら=23日、和歌山県田辺市龍神村東で
のこぎりやはさみを使ってコウゾを収穫する児童
のこぎりやはさみを使ってコウゾを収穫する児童
 和歌山県田辺市龍神村東、上山路小学校の6年生5人は23日、自分たちの卒業証書に使う和紙を作るため、原料となるコウゾ(クワ科)を収穫した。

 同校では6年生の児童が毎年、かつて龍神村で生産されていた「山路紙(さんじがみ)」で卒業証書を作っている。原料の刈り取りや加工、紙すきを体験することで、地域の歴史や文化について学び、森林学習や環境問題についても理解を深めている。紙の原料となるコウゾは、運動場の一角で育てている。

 指導しているのは、戦後いったん途絶えた山路紙を復活させた地元の造形作家、奥野誠さんと妻の佳世さん。二人は、紙の歴史や役割を話したり、紙作りと自然環境との関わりや環境問題を教えたりもしている。

 卒業証書作りは、県の「紀の国緑育推進事業」の一環として実施している。この日はまず、誠さんが教壇に立って授業をした。紙でできている身の回りにあるものや、もし紙がなかったら困ることについて児童に考えてもらい、紙と暮らしや文化との密接な関係を示した。また、誠さんが持参した麻布や竹、コウゾ、わら、木材など紙の原料を紹介しながら、紙作りの歴史や自然環境との関わりを説明した。

 その後、児童は運動場に移動し、昨年の収穫後に新しく伸びたコウゾの木を刈り取る作業をした。誠さんの指導を受けながら、児童はのこぎりやはさみ、鎌を使って次々と根元から切り取り、枝を払って収穫していった。

 廣岡柾哉君(12)は「この木が卒業証書になると考えると、びっくりする。自分で作るものなので、一生残る思い出になると思う。これからの作業も一生懸命取り組みたい」と話した。

 次回の授業では、コウゾの皮をむく作業をする。

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