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12月から正月の対応 本宮大社が「分参」呼びかけ

幸先詣のポスター
幸先詣のポスター
 和歌山県田辺市本宮町の世界遺産・熊野本宮大社は、正月の混雑緩和策として、12月の1カ月間を「幸先詣(さいさきもうで)」期間とし、例年の正月と同様の対応をすると決めた。併せて、三が日だけでなく、元日から1月15日までを正月期間として打ち出す。

 地元の商工、観光関係者らが出席した「熊野本宮よみがえり委員会」がこのほど、大社の瑞鳳殿であり、正月の態勢を話し合った。

 幸先詣の期間を設けるのは昨年に続く取り組みで、縁起物の授与や新年の祈祷(きとう)は12月から始める。混雑を緩和させるため、さい銭箱や手水舎を増やしたり、境内を一方通行にしたりする。

 九鬼家隆宮司は「新型コロナウイルスの影響が完全に収束していない中、観光客が少しずつ戻ってきていることもあり、安全第一をと考えた。できるだけ『分参(ぶんさん)』をお願いしたい」と話した。

 大社では「幸先詣」などを呼びかけるポスターを作製。地域の事業所などへ掲示を呼びかける。


■潜水橋 盛り土で対応

 委員会では、8月の大雨で被災した、大社の旧社地・大斎原(おおゆのはら)に架かる潜水橋についての報告もあった。市の担当者は、被災した橋を撤去した後、来訪者が多くなる年末年始に向けた一時的な対策として、盛り土による道を造るとの方針を明らかにした。

 復旧事業のため、最終的には盛り土による道をなくし、新しい橋を架ける。事業費は7600万円。


■ぬれわらじの入堂

 音無川に架かる潜水橋は、毎年4月に営まれる大社の例大祭でも使われるが、復旧事業の完了は来年夏とされる。こうした事情もあり、委員会では「川で身を清めて大斎原に向かう行程にするのはどうか」という意見もあった。

 大社によると、ぬれたわらじで神域に入るという意味の「ぬれわらじの入堂」という言葉があり、別の場所に橋がなかった時代には、実際に川を渡っていた。九鬼宮司は「橋がないという現状を、良い機会だと捉えたい。例大祭の参列者だけでなく、一般の観光客らにも参拝の方法の一つとして広められないか」と話した。委員会の出席者からは「物語性がある」と評価する声が上がった。

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