和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

ピンチをチャンスに 和大サッカー部が改革

練習に励む和歌山大学男子サッカー部(和歌山県和歌山市松江で)
練習に励む和歌山大学男子サッカー部(和歌山県和歌山市松江で)
大学日本一を目指しながら地域活性化の活動に取り組む和歌山大学男子サッカー部(和歌山市松江で)
大学日本一を目指しながら地域活性化の活動に取り組む和歌山大学男子サッカー部(和歌山市松江で)
和歌山大学男子サッカー部の新エンブレム
和歌山大学男子サッカー部の新エンブレム
 和歌山県内唯一の国立大学、和歌山大学(和歌山市栄谷)の男子サッカー部は、監督がおらず、学生のみで運営している。近年は部員が減少し、公式戦でも苦戦する中、地域貢献の活動に乗り出すなどの改革案を打ち出した。ピンチをチャンスに変えて「地域活性化」と「大学サッカー日本一」を目指すという。 

■監督なし、自発的行動

 現在は選手23人、マネジャー4人。関西学生サッカーリーグの3部に所属している。主将を中心にメンバーで話し合いを重ねて練習や試合に臨んでいる。

 選手やマネジャーで構成する「PR班」の4年生、伊藤宇汰さん(22)は「監督がいないからこそ、自分たちにできることは何かを考えて自発的に行動している」と話す。

 一方で部員数は以前に比べて減っており、この春に入部した1年生は1人だけだった。関西学生リーグ3部では2部昇格を目標としているが、現在は12チーム中10位。3部残留が現実的な目標だ。部員数の減少で、部の財政も苦しくなっているという。

■プロジェクト発足

 そんな中、PR班が考えた改革案が「WA(わ)プロジェクト」だ。サッカー部の知名度を高めて、大学や地域のことをより多くの人に知ってもらおうと、新しいエンブレムをデザインした。クジラ、梅、青波、「W」の文字など、和歌山を連想するデザインに仕上げている。以前のエンブレムは校章だった。新エンブレムは、ユニホームやチームのポロシャツに付ける。

 プロジェクトの「WA」には(1)「わかやま」に貢献する(2)互いを尊重し、協力し合う「和」(3)人のつながりを大切にする「輪」―の三つの意味を込めた。

 (1)の地域に貢献する活動は、既に始めている。6月に紀ノ川下流の中州にあるグラウンド周辺を清掃し、8月には和歌山城を清掃。9月には和歌山市内の小学校周辺で登校時の見守りをした。

 (2)と(3)の活動として、今後は小学生対象のサッカー教室や、インターネットで資金を集めるクラウドファンディング、高校生との練習試合などを予定している。

 紀南で活動する社会人サッカークラブ「南紀オレンジサンライズFC」の竹川恭平主将(25)と吉村彰吾選手(25)がOBという縁で、今年から胸を借りて練習試合をしている。

■エリート選手いない

 主な練習メニューを考えている3年生の家串康汰主将(20)は大阪府南部の公立高校サッカー部出身。同じ関西3部でもJリーグのユース出身や全国大会出場などの経歴を持つ選手が多いが、和大は「普通の高校」でサッカーをしてきた選手が多いという。

 2年生の東修斗さん(20)もそんな一人。「コロナ禍で、高校では練習や試合が満足にできなかった。その思いを大学でぶつけたい」と話す。

 サッカー部を強くしながら存続・発展させるため、伊藤さんは「地域に貢献し、県民に応援してもらえるような関係を築きたい。県民の部員が少ないので、紀南の高校生にも興味を持ってもらえる活動もしていきたい」と話している。

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