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悩み抜いた末に退任決意 和歌山県の仁坂知事

次期知事選に立候補しないことを表明する仁坂吉伸知事(15日、和歌山県議会議場で)
次期知事選に立候補しないことを表明する仁坂吉伸知事(15日、和歌山県議会議場で)
 12月に任期満了を迎える和歌山県の仁坂吉伸知事(71)=4期目=は15日、県議会一般質問で「悩み抜いた結果、私の知事としての務めは、今期限りとさせていただきたい」と述べ、次期知事選に立候補しないことを表明した。理由として多選によるリスク、次期知事選を巡る県政界の対立、妻の体調不良を挙げた。


 仁坂知事は、談合事件による前知事の辞職に伴う2006年12月の選挙で、56歳の時に初当選。以来4期16年、知事を務めてきた。その上で、5期目を目指す意思があるか、谷洋一県議(自民、東牟婁郡)が質問した。

 仁坂知事は「今後も県政を担ってくれという声が山のように寄せられていた。一方で、退陣した方が良いという意見と動きがあることも承知している」とした上で「今年の春先くらいまでは、これからもずっと知事をしてくれよと言われる方々に『はい、頑張ります』と答えてきたが、自分だけが県政を担える存在だと考えることは不遜だと思うようになった」と説明した。

 立候補しない理由の一つに多選を挙げた。「マンネリに陥らないよう身を引き締めてきた」としながらも「多選はマンネリ化を呼び、行政への想像力が失われるリスクがある」とも話した。また「今年の初めごろから、多選を理由に、次期選挙は応援すべきではないという動きがあることはよく承知している」とした。

 知事選を巡る県政界の対立については「県政の円滑な遂行に禍根を残しかねない。当事者である私が身を引いた方が、対立が解消される」と述べた。妻の体調不良については「異常なほどの忙しい毎日だったが、家内はずっと私を支え続け、私の犠牲になってくれた。あと4年間、この状態でいることは人倫にもとると思うようになった。県のリーダーは私に代わる良い人が現れても、家内にとって夫は私しかいない」とした。


■「自分捨てられる人に」 次期知事へ望み

 仁坂知事は議会散会後、報道陣の取材に応じ「故郷の知事になれたことは、人間としてすごく幸せなこと。自分のことは考えず、いつ辞めさせられてもいいので、県民の幸せになることをやろうと思ってきた。忖度(そんたく)することもなく、それを最後まで貫き通せたのは良かった」と述べた。

 次の知事については「後任指名などの不遜な気持ちは全くない」とした上で「私がやってきたような気持ちで、自分を捨てて、仮に人に嫌われても県民の幸せにつながることを主張し実行する能力や気持ちがある人がいい」と述べた。

 任期後は、東京で暮らす妻との時間を増やしながら、和歌山でも人と交流したり、求められれば政治について助言したりしたいという。

 次期知事選には岸本周平衆院議員(65)=和歌山1区=が立候補を表明している。


■真砂市長を推す声も

 知事選を巡っては、田辺市の真砂充敏市長の立候補も一部で取り沙汰されている。

 真砂市長はこれまでの紀伊民報の取材に対し、立候補を推す声があることは認めた上で「昨年4月に当選したばかりで、新庁舎整備事業をやり遂げると公言してきた中でもあり、そう簡単な話ではない。後援会とも相談し、立候補するかしないかも含めて検討している。近いうちに態度を明らかにしたい」と話している。

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