梅成分がコロナ感染阻害 うがい薬など予防で期待
和歌山県の田辺市とJA紀南でつくる紀州田辺うめ振興協議会は18日、梅に含まれる梅ポリフェノール(UP)に、新型コロナウイルスの感染を阻害する効果があることを確認したと発表した。うがい薬や消毒薬などとして、感染予防での活用が期待できるという。
UPには抗インフルエンザウイルス作用があることから、協議会は新型コロナにも何らかの効果があるのではと考え、ウイルス学で実績のある大阪医科薬科大学(大阪府高槻市)に研究を依頼。医学部の中野隆史教授と鈴木陽一講師らの研究グループが、昨年2月から1年かけ、二つの試験でコロナウイルスに対する阻害効果を明らかにした。
一つはウイルスの溶液とUP溶液を混合し、殺ウイルス(消毒)作用を調べる不活性化試験。3日後に感染性のあるウイルスがどのくらい残っているかを測定したところ、濃度0・01%のUPで感染性が98%以上減少した。
もう一つはウイルスを細胞に感染させた後、UPを細胞培養液に添加して、ウイルスが増殖するかどうかを調べる試験。感染2日後、濃度0・1%のUPでウイルスの増殖率が65%以上減少した。
感染制御学が専門の中野教授は「新型コロナに確実な治療法が存在しない中、対策で重要なのが予防。UPは、消毒薬やうがい薬など体内に侵入するウイルスに直接的に働き掛けて防御する効果が期待できる」と強調した。
一方、治療薬としては「可能性はあるが、ハードルは高い」と指摘。ウイルス学が専門の鈴木講師は「どのようなメカニズムで増殖を抑制しているかまだ分かっていない。研究を進めることで、治療薬につながる要素が見つかるかもしれない」と説明した。
協議会会長の真砂充敏市長は「研究成果は梅の産地にとって大きな財産。生産農家をはじめ、加工業者や関連産業にとっても、コロナ禍から立ち直る一助になると期待している。研究成果を産地全体で共有し、広く消費者に伝えるとともに、十分に活用したい」とコメントした。
【梅ポリフェノール(UP)】
梅干し製造時の副産物である梅酢から抽出できる。協議会は2013年度にインフルエンザの増殖を抑制し、感染力をなくす作用があると発表した。16年度には抗ウイルス活性を備えた医薬品作成の特許も取得。UPを使った商品には、21年2月に大手酒造会社が発売した除菌スプレーがある。
UPには抗インフルエンザウイルス作用があることから、協議会は新型コロナにも何らかの効果があるのではと考え、ウイルス学で実績のある大阪医科薬科大学(大阪府高槻市)に研究を依頼。医学部の中野隆史教授と鈴木陽一講師らの研究グループが、昨年2月から1年かけ、二つの試験でコロナウイルスに対する阻害効果を明らかにした。
一つはウイルスの溶液とUP溶液を混合し、殺ウイルス(消毒)作用を調べる不活性化試験。3日後に感染性のあるウイルスがどのくらい残っているかを測定したところ、濃度0・01%のUPで感染性が98%以上減少した。
もう一つはウイルスを細胞に感染させた後、UPを細胞培養液に添加して、ウイルスが増殖するかどうかを調べる試験。感染2日後、濃度0・1%のUPでウイルスの増殖率が65%以上減少した。
感染制御学が専門の中野教授は「新型コロナに確実な治療法が存在しない中、対策で重要なのが予防。UPは、消毒薬やうがい薬など体内に侵入するウイルスに直接的に働き掛けて防御する効果が期待できる」と強調した。
一方、治療薬としては「可能性はあるが、ハードルは高い」と指摘。ウイルス学が専門の鈴木講師は「どのようなメカニズムで増殖を抑制しているかまだ分かっていない。研究を進めることで、治療薬につながる要素が見つかるかもしれない」と説明した。
協議会会長の真砂充敏市長は「研究成果は梅の産地にとって大きな財産。生産農家をはじめ、加工業者や関連産業にとっても、コロナ禍から立ち直る一助になると期待している。研究成果を産地全体で共有し、広く消費者に伝えるとともに、十分に活用したい」とコメントした。
【梅ポリフェノール(UP)】
梅干し製造時の副産物である梅酢から抽出できる。協議会は2013年度にインフルエンザの増殖を抑制し、感染力をなくす作用があると発表した。16年度には抗ウイルス活性を備えた医薬品作成の特許も取得。UPを使った商品には、21年2月に大手酒造会社が発売した除菌スプレーがある。