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IR計画案への意見募集へ 和歌山県議会、不透明と批判も了承

和歌山県庁
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 和歌山県は7日、「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)」の資金調達方法や共同事業者などを示した「区域整備計画案」を公表した。昨年11月、県議会「IR対策特別委員会」から計画案に不透明な部分があるとして延期を求められていたパブリックコメント(パブコメ=県民からの意見募集)も、9日から開始する。7日の特別委でも批判が相次いだが、最終的にパブコメ開始を了承した。


 県は和歌山市の「和歌山マリーナシティ」への誘致を目指している。IRを開業するためには、県と事業の優先権者「クレアベストニームベンチャーズ」(東京都)が計画案を作成し、県民への説明など手続きを踏んだ上で、計画を4月28日までに国に提出し、認められる必要がある。

 しかし、昨年11月のIR対策特別委員会では、計画案の資金調達面などを不安視する声が相次ぎ、「姿形が見えるまで、パブコメと住民説明会を延期すべきだ」と決議。県はこれに従い、パブコメや住民説明会を延期していた。

 この日の特別委では、県や事業者の担当者がIR開業までの資金調達総額を4700億円と想定し、その内訳などを説明。総額の3割に当たる1450億円は、中核株主となる「クレアベストニームベンチャーズ」や親会社のカナダIR投資会社「クレアベストグループ」、米カジノ大手の「シーザーズ・エンターテインメント」のほか、少数株主として「西松建設」(東京都)など10社程度が出資する。残り7割の3250億円はスイスの金融大手「クレディ・スイス」が取りまとめる金融機関から借り入れする。地元の紀陽銀行とも話を進めると説明した。

 一方、他の少数株主の社名や金融機関名、借入金の具体的な調達方法などは明かさなかった。

■議論は紛糾

 県の説明に対して、議員からは「(完全な形の資金計画を)期待していたが、前回と似た説明。県民に正しく理解してもらえるのか心配」「地元の経済界に盛り上がりがないのが寂しい。資金計画が明確にできていないことに起因すると思う」などと批判が相次ぎ、議論は紛糾。午前10時に開会したが、休憩を挟んで午後5時まで続いた。「パブコメに進むことはならない」という意見もあった。

 しかし、藤山将材委員長が「本委員会としては納得できるものではないが、日程が決まっている中で、これ以上、県民への公聴会(説明会)やパブコメの先送りは本意ではない」と述べ、最終的にパブコメ開始を了承した。

 県の田嶋久嗣IR担当理事は特別委終了後「不手際で、ずれ込んだことは申し訳なく思う。さまざまな観点から意見を頂きたい」と話した。



 県は整備計画案のパブコメを9日~3月10日に実施する。資料は県IR推進室のサイトや、各振興局企画産業課などで閲覧できる。意見は郵送(郵便番号640―8585)かファクス(073・422・1812)、電子メール(e0201001@pref.wakayama.lg.jp)で県IR推進室へ。

■説明会は3カ所に 当初予定より大幅減

 住民対象の説明会は3月上旬に、和歌山市を含む3カ所で開くことを検討している。詳細は今後公表する。

 当初は14カ所を予定していたが、今後の予定が窮屈になったことや新型コロナを考慮し、開催箇所を減らす。

■知事「可能性に」

 仁坂吉伸知事は8日の定例記者会見で「いま新型コロナウイルスの影響で、世界のIR業界を巡る状況がとても悪い。事業者が諦めてしまうのではと心配していたが、最終的に頑張りますと言ってきてくれ、計画案ができた。この(事業者の)やり方に沿って可能性にかけてみるしかない」と話した。その上で「県議の心配はその通りだが、適正な手続きに沿って進めることで(事業者を)支えたい」と述べた。

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