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修復中の社殿見学 みなべの須賀神社でセミナー

和歌山県文化財センター職員(中央)から屋根のふき替えについて説明を聞く参加者=和歌山県みなべ町西本庄で
和歌山県文化財センター職員(中央)から屋根のふき替えについて説明を聞く参加者=和歌山県みなべ町西本庄で
 みなべ観光ガイドの会主催の「みなべ観光セミナー」が13日、和歌山県みなべ町西本庄の須賀神社であった。ガイドの会メンバーも含め町民ら25人が、修復中の社殿を見学し、県文化財センター職員の下津健太朗さんや前芝弘知宮司から説明を聞いた。

 社殿は県指定の文化財。6月から檜皮葺(ひわだぶき)屋根のふき替え作業が始まり、8月から壁面に施された彩色の保存・修復作業が続けられている。ふき替えは35年ぶり、彩色は昭和40年代に一部を直しているが、全体的には1906(明治39)年以来だという。全ての作業が終わるのは来年12月の予定。

 最初に下津さんが作業の概要を説明した。3棟ある現在の社殿は江戸中期に建立されたとされているが、今回の屋根解体により「享保四年」(1719年)という墨書きが確認されたことを紹介し「それがはっきり分かってよかった」と話した。屋根上部の箱棟は1936(昭和11)年に銅板になるまでは木製で黒色だったが、今回のふき替えでは銅板で黒色に塗装する計画であることも紹介した。

 彩色については、115年前に塗り替えられた状態に回復させるため「顔料が浮き上がった所はにかわで接着し、落ちてしまった所は色を補って修復する」と説明。また梅や鶴、亀、獅子、竜などの彫刻が施されていることにも触れ「みなべらしい。亀は産卵地があるので重視していたのだろうか」と語った。

 前芝宮司は彩色を中心に説明し「ふんだんに施されている。木鼻がユーモラスなのが特徴。高野山や紀ノ川筋では多いので、その流れをくんでいるのではないかと思う」。正面の扉に描かれた竜の復元にも触れ「完成が楽しみだ」と語った。飾りの金具が損壊により取り換えられたことで、さまざまな種類があることも説明。「いつも見ていれば当たり前と思いがちだが、すごいもの。情報発信したい」と語った。

 参加者は説明に聞き入っていた。10年前に移住し、地元を知るためにイベントによく参加するという同町埴田の石子あや子さん(72)は「須賀神社は初詣で来たことはあるが、社殿を意識して見ることはなかった。今回、なかなか見られない場面を見せてもらって感動した。出来上がるのが楽しみ」と話していた。

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