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薪炭林や製炭現場巡る 和大生が農業遺産を学習

原正昭さん(左)から紀州備長炭についての説明を聞く学生ら=和歌山県みなべ町清川で
原正昭さん(左)から紀州備長炭についての説明を聞く学生ら=和歌山県みなべ町清川で
 和歌山県の世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」について学ぼうと、和歌山大学の学生11人が9、10の両日、みなべ町を訪れ、まきや炭の生産など人の生活に結び付いた「薪炭林」や製炭の現場を巡るとともに、製炭者から話を聞いた。

 訪れたのは、学生が大学の支援を受けて自主的につくった世界農業遺産交流プロジェクト「ひなたぽっと」のメンバー。昨年秋、炭の高級ブランド「紀州備長炭」の原料であるウバメガシなど、広葉樹を植える活動で同町を訪れている。今年も、梅システムの魅力を発信する「みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会」のプロジェクトの一つ「まちキャンパスプロジェクトチーム」(上野章代表)が、受け入れた。

 薪炭林を案内したのは、県木炭協同組合の代表理事を務める製炭者の原正昭さん(50)=みなべ町清川。初日は、田辺市とみなべ町にまたがる虎ケ峰の山林で、炭に利用される樹木を見て学んだ。

 紀州備長炭にはウバメガシだけでなく、アラカシやアカカシなど5種類のカシ類が使われており、原さんがそれぞれを見せながら特徴を説明した。樹木の伐採の仕方にも触れ「択伐といって、すべて伐採するのではなく、絶やさないように計画的に切るようにしてきた。これにより300年にわたって炭焼きが続けられている」と語った。

 その後、製炭に使う炭窯まで移動。原さんが炭の歴史や紀州備長炭の特徴のほか、炭の焼き方についても説明した。窯から出る煙の臭いで炭の出来具合が分かり、樹木が生えていた土地によって炭の質に違いが出ることも紹介した。学生らは熱心に聞き、メモを取っていた。

 2日目は、みなべ町東本庄のウバメガシが多く自生している山林を訪れた。同町清川の紀州備長炭振興館では、みなべ川森林組合の松本貢参事から紀州備長炭についての説明を聞いた。その後、備長炭と一般的な黒炭の2種類の炭を使って鶏肉を焼き、違いを確認した。

 2回生の五味晴香さん(19)は「みなべといえば梅を思い浮かべるが、炭の生産も盛んだというのを聞いていた。現場を見たり、話を聞いたりすると、ものすごく奥が深いのが分かった」と話していた。

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