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ウミガメの産卵低調 ピーク迎えたみなべ・千里の浜

砂浜で産卵するアカウミガメ。今季はかなり少ないという(6日午後10時ごろ、和歌山県みなべ町山内の千里の浜で)=許可を得て赤色ライトで照らして撮影
砂浜で産卵するアカウミガメ。今季はかなり少ないという(6日午後10時ごろ、和歌山県みなべ町山内の千里の浜で)=許可を得て赤色ライトで照らして撮影
 和歌山県みなべ町山内の千里の浜で、アカウミガメの産卵がピークを迎えている。今季は例年に比べると大幅に少ないが、6日夜には2匹が産卵するのが確認された。8月上旬まで続くため、今後、多くなることが期待される。


 同町教育委員会によると、今季は5月30日から始まり、7月6日までに16回の産卵を確認している。6月中旬からピークに入っているが、複数回確認できたのは6日夜が2回目という。

 千里の浜でのウミガメの調査は1980年代から始まった。産卵数は90年代初めには約350回も確認できたが、その後は減り、98年には29回に落ち込んだ。その後、再び増え始め、2012、13年にはいずれも300回近くまで回復。しかし、翌年から減り始め、19年は47回、20年は63回だった。

 ウミガメは同じ個体が1シーズンに2、3回産卵するとされ、今季は中盤を迎えており、すでに2回目の産卵に入っているとみられる。保護・調査や研究を続ける「NPO日本ウミガメ協議会」(大阪府)の松沢慶将会長は「今季は新規の産卵が少ない。このままでは昨年よりかなり落ち込むのではないか。全国的な傾向だが心配だ」と話す。

 それでも産卵シーズンは今後1カ月続くことから、保護活動をしている人たちはこれから増えることに期待する。

■高知県沖から移動 発信器で判明

 6日に産卵した個体のうち1匹は、4月中旬に高知県室戸市の室戸岬沖の定置網にかかった後、海に放されていたことが分かった。甲羅に衛星利用測位システム(GPS)機能が付いた電波発信機が取り付けられていたことで判明した。この個体は、6月22日にも千里の浜で1回目の産卵が確認されている。

 アカウミガメは生まれてから産卵できるまで成長するのに30~40年かかるとされる。日本で生まれると黒潮に乗って太平洋を渡り、アメリカ西海岸やメキシコを回遊した後、日本に戻って産卵するという。今回産卵した個体には、2019年7月に千里の浜で産卵した際に取り付けられた標識も付いており、ダイナミックに移動するその行動の一端が裏付けられた。

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