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「1人1社制」見直し 高校生の就活を複数応募制に

 和歌山県教育委員会は、高校生の就職活動について、長年採用してきた「1人1社制」を見直し、今秋から「複数応募制」にすると発表した。来春の卒業予定者から対象となる。「複数応募制」を採用するのは、全国で3県目という。


 県教委や和歌山労働局、高校校長会、県内経済関係団体などの関係機関が「県高校就職問題検討会議」を開いて申し合わせた。

 県内ではこれまで、高校生の採用試験が解禁される9月16日から2週間は、1人につき1社しか応募できないとしていた。しかし見直しにより、企業が認めた場合は、県内企業に限り、複数社への応募を可能とする。また「指定校求人」について、これまでは企業が求めることができる各指定校からの合計推薦者数を、求人数に対する3倍程度としていたが、今後は企業側が自由に設定できるようにするという。

 「1人1社制」は、多くの生徒に応募の機会を与えられたり、高い内定率が得られたりするなどの利点がある。一方で、生徒は1社しか応募できないため、他の生徒との成績を比較した上で、働きたい企業より、学校からの推薦を得られやすい企業を選択する実態があったという。これが高卒生の離職率の高さにつながっているという指摘もある。また、企業側からも必ずしも求める人材が推薦されないという声もあったという。

 そこで、県教委などは、自らの意思と責任で就職先を選択できるようにし、生徒全員が希望する企業に応募できるようにしたいと、ルールを見直した。

 複数応募制にした場合、一部の生徒に内定が集中するのではないかという懸念が県議会などで指摘されている。このことについて県教委は、内定が得られていない他の生徒に早期に枠を空けられるよう「生徒が複数社から内定を受けた場合は、1社に対して内定承諾、それ以外に辞退の通知を速やかにする」ことも検討会議で申し合わせたという。

 全国でも長年、ほとんどの都道府県で「1人1社制」が続いている。文部科学省と厚生労働省は昨年、この慣行の見直しを含め、生徒の選択肢を広げることの検討を都道府県などに求めていた。

 秋田県と沖縄県は以前から複数応募制に変更している。大阪府も今秋からの見直しを予定していたが、新型コロナウイルスの影響を考慮し、1年延期した。和歌山労働局によると、複数応募制を採用するのは、和歌山県が3県目という。

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