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梅「近年にない不作」懸念 予想収穫量、過去10年で最少

着果調査する西牟婁地方果樹技術者協議会のメンバー。今季は大幅に少ないという(和歌山県田辺市秋津町で)
着果調査する西牟婁地方果樹技術者協議会のメンバー。今季は大幅に少ないという(和歌山県田辺市秋津町で)
 和歌山県のみなべ町や田辺・西牟婁で栽培される梅が今季、かなりの不作となりそうだ。JA紀南管内での調査では、着果数は大幅に少なく、予想される収穫量は過去10年間で最少となっている。農家らは「近年にない不作になるかも」と表情を曇らせる。

 JA紀南や県などでつくる「西牟婁地方果樹技術者協議会」が17日に発表した調査結果によると、「南高」「古城」「小梅」のいずれも着果数は、現段階では平年や昨年と比べて大幅に少なかった。

 調査は15日、田辺・西牟婁4市町にある指定の129園(南高76、古城32、小梅18、雑梅3)を巡回し、各園に設けられた2本の基準木の枝2本についた実を数えて平均を出した。南高は、平年の59%、昨年の44%。古城はさらに悪く平年の49%、昨年の38%。小梅は平年の48%、昨年の44%。

 ただ、平たん部の着果はやや多く、山間部は少ない傾向で、園地によってばらつきが大きいという。要因について協議会は「さまざまなことが考えられるが、断定はできない」と話している。

 田辺市三栖地域の基準園で16日に実施した実太りの調査では、南高は平年より6日ほど早かった。

 協議会の調査とは別に、JA紀南梅部会が、予想される収穫量をまとめた。南高は1万6838トンで、平年の76%、昨年の79%。過去10年間でみると、最少だった2012年の1万6856トンや17年の1万7626トンをさらに下回る。

 古城は288トン(平年比47%、昨年比79%)、小梅は515トン(平年比62%、昨年比88%)で、南高以上の落ち込みが見込まれる。

 JA紀南梅部会長の瀧川裕司さん(田辺市下三栖)は「山の高い所や老木に実が少ない。実の数をできるだけ減らさないようにするとともに、実太りさせて収穫量を上げられるよう栽培管理を徹底していきたい」。田辺市三栖地域の農家は「今までで最少という声が多い。少なさに加え、寒さもあり、病気も心配。新型コロナウイルスの影響もあり、今年は厳しい年になりそうだ」という。

 JA紀南営農指導課は、今後の気象によって実が大きくなるのを期待するとともに、雨が少なければかん水したり、病害虫を予防したりして栽培管理を徹底するよう農家に呼び掛けるという。

 一方、みなべ町でも、日高果樹技術者協議会が21日に着果調査をする予定だが、各地域で農家らが状況を見て回っている。

 町内のある農家は「全体では昨年の7割、平年の6割か7割」とみている。「凶作だ」とする農家もいて、「これまで5割を下回るのは聞いたことがないが、場所によっては5割を大きく下回るかもしれない。塩害の影響も気掛かりだ」という。

 別の農家は「条件の良い所で、より多くの実がなっていることに期待したいが、2012年よりも少ない感じがする」と話す。新型コロナウイルスの感染拡大による景気低迷の影響も心配する。

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