和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

地方に新しい風巻き起こそう 大学生が企業や商店街で奮闘中、和歌山・紀南

駅前ギャラリーを改修する武蔵野美術大学生グループ。中央が小澤拓生さん(和歌山県田辺市湊で)
駅前ギャラリーを改修する武蔵野美術大学生グループ。中央が小澤拓生さん(和歌山県田辺市湊で)
地元の事業者と交流するインターンの大学生ら(和歌山県田辺市下屋敷町で)
地元の事業者と交流するインターンの大学生ら(和歌山県田辺市下屋敷町で)
 全国から和歌山県紀南地方に集った大学生が、企業や商店街で奮闘している。大学生の発想と地域の魅力による化学反応が、新しい風を起こそうとしている。

■ギャラリーでにぎわいを 美大生が空き店舗改修

 田辺市湊の田辺駅前商店街にある空き店舗「ギャラリー駅前」を武蔵野美術大学(東京都)の学生が改修している。期間限定営業の出店や交流イベントの場としても活用し、市街地のにぎわいづくりにつなげる。

 まちづくり会社「南紀みらい」(田辺市)と武蔵野美術大の産学共同研究の取り組み。大学院生の小澤拓生さん(24)が1年ほど前から定期的に市内に数週間滞在し、さまざまな活動をしている。研究期間は2年間。

 ギャラリーの改修では展示物を引き立たせるため、壁をしっくいで白く塗っている。しっくいには地元の砂や廃棄される漁網、廃材などを混ぜ、地域ならではの質感を出そうとしている。大学の後輩らを助っ人に、左官作業を進めている。

 床やバックヤードなどは空き店舗の原型を生かしながら改修。商店街の会議やさまざまなイベントにも活用できるよう設計している。

 造形研究科の小澤さんの専門は、所有者のない「無主物」のデザイン。「熊野は自然崇拝を起源にした聖地。自然物に神が宿るように、廃棄物や空き家、空き店舗の価値にも目を向けてもらいたい」と意気込む。

 「田辺はとても魅力的なまちなのに、通過点になっている。いかに人を呼び込み、地域の人に見直してもらえるか。魅力を引き出すすべを考えたい。今後、大阪や東京で活動しても、ずっと田辺に関わっていきたい」と話している。

■インターンで〝新鮮力〟 商品開発やイベント運営

 田辺市や白浜町の企業5社で10人の大学生が長期のインターンシップ(就業体験)に臨んでいる。建設や内装、観光などさまざまな業種で、商品開発やイベント運営などを担当。「新鮮力」に企業も期待を寄せている。

 短期の見学や体験でなく、1カ月以上学生と経営者が協力して企業課題に挑む実践型インターンシップ。田辺市東陽の教育会社「トゥデイ」が手がけている。2月中旬にスタートし、今月28日までの予定。

 白浜町の観光施設「三段壁洞窟」では、津田塾大(東京都)1年の山口花さんと同志社大(京都府)2年の潟口綾香さんが、新たにオープンするカフェのメニュー開発に挑戦している。

 潟口さんは「三段壁らしいビジュアルとSNS映えの両立が難しい。岩や洞窟はスイーツにするとなかなか映えずに苦労した」と話す。ようやく形になりそうな段階という。山口さんは「関東出身、在住で白浜町のことは知らなかったけれど、とてもすてきな所。地域貢献につながればうれしい」と意気込む。

 トゥデイでは福井大2年の大友里紗さんが、高校生を対象にオンラインによる進路相談の仕組みをつくっている。ワークシートを書いて、学部や学科など進路の方向性を考え、「先輩」の大学生に相談できる。

 大友さんは「紀南地方では大学生に接する機会がなく、大学をイメージしにくいと思う。私自身も学校、保護者、私の3者で進路を考えたけれど、実際の大学生の声には説得力がある。気軽に相談できる仕組みにしたい」と話している。

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