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都市部の親子が「地方留学」 関係人口の創出目指す、和歌山県すさみ

取れたての海の魚を刺し身で味わう参加者(和歌山県すさみ町見老津で)
取れたての海の魚を刺し身で味わう参加者(和歌山県すさみ町見老津で)
空き家の活用方法をテーマに開かれた説明会(和歌山県すさみ町周参見で)
空き家の活用方法をテーマに開かれた説明会(和歌山県すさみ町周参見で)
 都市部の親子が地方に滞在しながら自然や食を体験する「おやこ地方留学」が9~15日、和歌山県すさみ町であった。短期的な観光(交流人口)ではなく、定期的または中長期的に滞在する関係人口の創出を目指す。親はインターネット環境が整った施設でテレワークし、子どもは町内の小学校に通学して地元住民らと交流を深めた。


 地方創生事業を手がける会社「雨風太陽」(岩手県)と町が協力した。国土交通省の補助事業で、二地域居住の課題点などを整理する。

 参加したのは東京都在住の2世帯6人。ゲストハウスに宿泊しながら、休日や放課後に鶏を解体する様子を見学したり、海で取れた魚を網から外す体験をしたりしたほか、カツオなど地元の新鮮な食材を使った料理を味わった。

 地元の小学生と仲良くなった子どもたちは「釣りが楽しかった」「鶏のスープがおいしかった」などと喜んでいた。

 40代の母親は「子どもが学校になじめるか心配だったが、皆さんが温かく迎えてくれて楽しんでいた。夏にまた来たい」と言い、40代の父親は「海がきれいな良い町だった。町民の皆さんが気さくに声をかけてくれてうれしかった」と話した。

 雨風太陽の木勢翔太部長(32)は「留学のニーズはあるので、町内での移動手段や宿の確保などの受け入れ態勢を整え、継続していければと思う」と話した。

■空き家活用考える

 雨風太陽は関連事業として、県や町と連携し、高齢化や人口減少で増えている空き家の活用を考える説明会を町内で開いた。全国各地でシェアハウス事業を展開している会社「アドレス」(東京都)の桜井里子さんらが講師を務め、町民約10人が参加した。

 2023年の住宅・土地統計調査によると、県内の空き家は約10万5千戸で、そのうち賃貸・売却などの利用目的のない空き家は約5万9千戸と全国2位。

 昨年12月末現在、町の人口は3471人で、世帯数は1981戸。空き家は約500戸あるが、相続や所有権問題、買い手と借り手の条件の不一致などで活用が進んでいない。

 桜井さんは関係人口を増やすことや、多様な価値観のコミュニティー形成に力を入れているといい、空き家の活用方法の一つとして、複数の入居者が1軒の住居を共有して暮らすシェアハウスを提案。個室を持ちながら台所や居間などの共有スペースを使う形態で、低コストで住め、住人同士の交流が生まれると紹介した。

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