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『マガジン』若手漫画家の成功続く 「この30年で一番すごい」編集部が新人育成に注力

週刊少年マガジンで連載中の漫画『ブルーロック』と『GALAXIAS』
週刊少年マガジンで連載中の漫画『ブルーロック』と『GALAXIAS』
 各出版社で毎年誕生する話題の漫画。その作品がアニメ化となり裾野を広げ、新たな読者を獲得しヒットが続いていく…。ヒット作品の創出には漫画家の育成などが必須だが、講談社の『週刊少年マガジン』は近年、若手の活躍が目立っている。編集部で働く編集者、編集長に“新人漫画家”の成功が続く理由を聞いてみた。

【動画】マガジン若手が躍動! 『ブルーロック』『GALAXIAS』作品紹介の公式映像

 『五等分の花嫁』『ブルーロック』『東京卍リベンジャーズ』…近年の週刊少年マガジンで連載された作品の多くは、どれもアニメ、舞台化などメディアミックス展開されている。特にコミックス累計4000万部を突破している『ブルーロック』の作画担当・ノ村優介氏は、同作が同誌の連載デビュー作品となっており、若手として早くも成功を収めたと言える。また、ノ村氏は『進撃の巨人』元アシスタントで、順調に作家として成長した例だろう。

 現在連載中の『甘神さんちの縁結び』の作者・内藤マーシー氏も『第98回週刊少年マガジン新人漫画賞』特別奨励賞、『ジャンプルーキー!』2019年11月期ブロンズルーキー賞を受賞したのち、同作の連載をスタート。コミックス第1巻は発売即日重版で、人気を継続しながらアニメ化されるなど成功している。

 新人漫画家が成功するには、編集部が一丸となって育成することが必須。それを担うのが各誌注力している新人漫画賞だ。漫画家になるためのファーストステップとして、まず思い浮かぶのは「持ち込み」だろう。「新人作家が作品を各誌の賞に投稿し、それを見た編集者が担当に付くというケースも非常に多いです。担当編集者と打ち合わせを重ねて、二人三脚で上位の賞を目指す…その繰り返しの中で実力をつけていくのが、若い新人作家の育成の基本です」と説明する。(週刊少年マガジンの担当編集)

 「特に週刊少年誌の新人漫画賞は、若い漫画家志望者が最初に投稿する“登竜門”として盛況です」「10代〜20代の投稿者が中心。毎回バラツキはあるものの、ファンタジーやバトルを題材にした作品が多いです」。現存する新人漫画賞の中で最長の歴史を持つ『週刊少年マガジン新人漫画大賞』の担当者も語る。そんな中で新たな新人漫画家が登場したと明かす。

 2022年に開催された第108回週刊少年マガジン新人漫画大賞(※当時の表記は新人漫画賞)で最高賞に当たる特選を受賞した『GALAXIAS』(作者:果坂青)。巨大な竜に家族を奪われた少年が、竜の少女と出会うファンタジー作品で、60年の歴史の中で“史上最高得点”の傑作となり、編集部が驚いたそう。

 「そもそも特選が出ること自体が珍しい賞で、それだけではなく、本作は同誌が開催する新人漫画賞の中で、歴代最高得点を記録しました」。マガジン編集部に30年以上在籍しているベテラン編集者も「本当に驚きました。新人漫画賞で真島ヒロ先生(代表作に『EDENZ ZERO』『フェアリーテイル』『RAVE』など)の作品を初めて読んだ時に近い衝撃です。この30年の中でも最高レベルの作品の一つと言えます」と絶賛する。

 現在、果坂氏は『週刊少年マガジン』で、投稿作をセルフリメイクしたファンタジーバトル漫画『GALAXIAS』を2024年7月より連載中。読者人気も高く、すでにコミックス1巻が発売され、第2巻は来年2月17日に発売される予定だ。そして、その経歴が特殊で、漫画家になる前はomao名義で活動。AyaseのMIKUNOYOASOBIや、AdoのDIGNITYのジャケット&Music Videoを担当するなど、有名アーティスト達と仕事をしていた。

 もちろん他出版社でも新人漫画家の活躍は目立っているが、『マガジン』では、どのように新人作家の育成、フォローなどをしているのだろうか。

 『週刊少年マガジン』編集長の川窪慎太郎氏(「進撃の巨人」「五等分の花嫁」「ガチアクタ」など担当)は、2022年9月より編集長に就任しており、就任後に決めた新連載が約20作品。そのうち初連載の新人作家のものが約10作品で、新人に活躍の場を与えてきた。「少年漫画の歴史を塗り変えるのは常に新人漫画家である、ということを担当作を通じて感じてきました。そうした経験があったので編集長になった今は積極的に新人漫画家の連載を増やしています。誰がまた歴史を変えてくれるのか、とても楽しみにしています」と説明する。日々ポジションが入れ替わる漫画業界。次代を制す新人は誰か…若き天才作家の行く末に目が離せない。



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