ヘレン・ミレン、映画『ホワイトバード』インタビュー「優しさと勇気を学んでほしい」
2003年に大英国帝国勲章を受勲し、06年にエリザベス女王(エリザベス2世)を演じた『クィーン』での圧倒的な演技でアカデミー賞主演女優賞を受賞。テレビや舞台でも幅広く活躍してきたイギリス映画界の“レジェンド”ヘレン・ミレン。12月6日公開の映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』では、“過ちをおかした孫を救う〈おばあちゃん〉”を熱演している。インタビュー映像が到着した。
【動画】ヘレン・ミレン、インタビュー映像
『ホワイトバード はじまりのワンダー』は、米国の作家R.J.パラシオのベストセラー小説シリーズ「ワンダー」を映画化し、興行収入320億円超えのスーパーヒットを記録した『ワンダー 君は太陽』(17年)のテーマを受け継ぎながら、新たなメッセージを携えたもうひとつの物語。
『ワンダー 君は太陽』で、いじめっこだった少年ジュリアン(演:ブライス・ガイザー)の将来を案じた彼のおばあちゃん、サラ(演:ヘレン・ミレン)が、自ら封印していた“衝撃の過去”を告白するストーリー。監督は、『ネバーランド』『プーと大人になった僕』などのファンタジー・ヒューマンドラマを手掛けてきたマーク・フォースター。
本作で、毅然とした眼差しと慈愛に満ちた微笑みで、波乱の人生を歩んできたサラの強さとやさしさを体現したヘレン・ミレン。彼女が本作にひかれた理由は、自身の幼い頃の経験と作品の伝えるメッセージが深く重なっていたからだという。
「戦後のイギリスで生まれ育った私の経験に近いものが、本作の物語にもあった。そして、実際の戦争でも同じようなことが起きていた。だから経験が役に立ったわ」と振り返るミレン。さらに、「悲劇を忘れないことはとても重要だと思う。同じ過ちを繰り返さないためにも、払われた犠牲について、若い人に知ってほしい。それが、どれほど悲劇的で残酷だったのかを決して忘れてはならないわ。誰もがこの歴史を忘れないことが大切なの」と真摯(しんし)な想いを語る。
いじめによって学校を退学処分になったジュリアンだが、なぜそうなったのか、いま一つ自覚できていなかった。あの経験から学んだことは、「人に意地悪もやさしくもしないただ普通に接することだ」と口にする孫ジュリアンについて、ミレンは「ほかの10代の若者と同じように、ジュリアンも自分の居場所が分からずにもがいている。その反動が非行につながったのだと思う。確かに世界とは邪悪で恐ろしい場所よ。でもキング牧師が“心に光を見つけよ。闇からは闇しか生まれない”と言うのと同じように、祖母は人生経験を孫に伝えることで大事なことを教えるの」。
サラは「あなたのために話すべきね」と自らの少女時代を語りだす。時は1942年、ナチス占領下のフランスで、ユダヤ人であるサラと彼女の両親に危険が近づいていた。サラの学校にナチスが押し寄せ、ユダヤ人生徒を連行するが、サラは同じクラスのジュリアンに助けられ、彼の家の納屋に匿われることになる。クラスでいじめられていたジュリアンに何の関心も払わず、名前すら知らなかったサラを、ジュリアンと彼の両親は命がけで守ってくれたのだ。
正しいことよりも「親切」なことを選ぶということを教えてくれた前作から引き継がれる本作のテーマを念頭に、「ジュリアンが物語で学ぶこと、つまり本作の教訓について、観客の若者も学ぶべきだと思うわ。悪行を続けた先に残るのは邪悪な未来だけなのだから、自分を壊すも同然よ」と語っている。
本作への出演を決めた後には、こんな偶然の出来事もあったという。「実は本作への出演を決めた直後に本当に偶然にある記事を読んだの。迫害から逃げてきた人などをフランスのある村が村全体で力を合わせてかくまってあげていたという記事。村全体でかくまうなんてとても勇気が要ると思う。誰か1人でも密告すれば全員が殺されるのだから」と語るミレン。
最後に、「その正義の重さを想像するには難しい時代になってしまった。だからこそ観客にはこの作品を見て、優しさと勇気を学んでほしいの」と締めくくり、勇気と善意が偏見や暴力を克服する力を持つことを本作を通して、さらに多くの人に伝わることを願った。
【動画】映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』予告編
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『ワンダー 君は太陽』で、いじめっこだった少年ジュリアン(演:ブライス・ガイザー)の将来を案じた彼のおばあちゃん、サラ(演:ヘレン・ミレン)が、自ら封印していた“衝撃の過去”を告白するストーリー。監督は、『ネバーランド』『プーと大人になった僕』などのファンタジー・ヒューマンドラマを手掛けてきたマーク・フォースター。
本作で、毅然とした眼差しと慈愛に満ちた微笑みで、波乱の人生を歩んできたサラの強さとやさしさを体現したヘレン・ミレン。彼女が本作にひかれた理由は、自身の幼い頃の経験と作品の伝えるメッセージが深く重なっていたからだという。
「戦後のイギリスで生まれ育った私の経験に近いものが、本作の物語にもあった。そして、実際の戦争でも同じようなことが起きていた。だから経験が役に立ったわ」と振り返るミレン。さらに、「悲劇を忘れないことはとても重要だと思う。同じ過ちを繰り返さないためにも、払われた犠牲について、若い人に知ってほしい。それが、どれほど悲劇的で残酷だったのかを決して忘れてはならないわ。誰もがこの歴史を忘れないことが大切なの」と真摯(しんし)な想いを語る。
いじめによって学校を退学処分になったジュリアンだが、なぜそうなったのか、いま一つ自覚できていなかった。あの経験から学んだことは、「人に意地悪もやさしくもしないただ普通に接することだ」と口にする孫ジュリアンについて、ミレンは「ほかの10代の若者と同じように、ジュリアンも自分の居場所が分からずにもがいている。その反動が非行につながったのだと思う。確かに世界とは邪悪で恐ろしい場所よ。でもキング牧師が“心に光を見つけよ。闇からは闇しか生まれない”と言うのと同じように、祖母は人生経験を孫に伝えることで大事なことを教えるの」。
サラは「あなたのために話すべきね」と自らの少女時代を語りだす。時は1942年、ナチス占領下のフランスで、ユダヤ人であるサラと彼女の両親に危険が近づいていた。サラの学校にナチスが押し寄せ、ユダヤ人生徒を連行するが、サラは同じクラスのジュリアンに助けられ、彼の家の納屋に匿われることになる。クラスでいじめられていたジュリアンに何の関心も払わず、名前すら知らなかったサラを、ジュリアンと彼の両親は命がけで守ってくれたのだ。
正しいことよりも「親切」なことを選ぶということを教えてくれた前作から引き継がれる本作のテーマを念頭に、「ジュリアンが物語で学ぶこと、つまり本作の教訓について、観客の若者も学ぶべきだと思うわ。悪行を続けた先に残るのは邪悪な未来だけなのだから、自分を壊すも同然よ」と語っている。
本作への出演を決めた後には、こんな偶然の出来事もあったという。「実は本作への出演を決めた直後に本当に偶然にある記事を読んだの。迫害から逃げてきた人などをフランスのある村が村全体で力を合わせてかくまってあげていたという記事。村全体でかくまうなんてとても勇気が要ると思う。誰か1人でも密告すれば全員が殺されるのだから」と語るミレン。
最後に、「その正義の重さを想像するには難しい時代になってしまった。だからこそ観客にはこの作品を見て、優しさと勇気を学んでほしいの」と締めくくり、勇気と善意が偏見や暴力を克服する力を持つことを本作を通して、さらに多くの人に伝わることを願った。
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