霜降り明星せいや、“スベッた罰ゲーム”人生で初めて受けた暴力 高校時代の壮絶な経験明かす
お笑いコンビ・霜降り明星のせいやが初の半自伝小説『人生を変えたコント』(ワニブックス)を25日に発売する。自身が高校時代に経験した「ある日、突然はじまった」壮絶ないじめを赤裸々に明かし、いじめから何とか抜け出そうと生み出した1作のコントについてつづった内容。同書から、「大阪市市立ホシノ高校1年生のイシカワ」が語った、人生で初めて受けた暴力を一部抜粋し紹介する。
【写真あり】「めちゃくちゃ痩せてる!」「輪郭が違いすぎ」せいやの卒アル写真
■いじめの突破口ならず…「殴られても、無理やり笑った」
一発ギャグがウケると盛り上がり、スベるとみんなから肩にパンチを受ける。そういう身体を張ったゲームをしていた。あまり見かけることのないゲームのようだが、このクラスの廊下では流行っていた。お笑い好きのイシカワにとっては、「ここに入っていけば状況が変わるかもしれない」と大きなチャンスに見えた。
このゲームがいじめ脱出の突破口になるかもしれない。
その晩、家でノートを開いて、一発ギャグを作りはじめた。大阪育ちのイシカワも例に漏れずお笑いが好きで、中学のときは、テレビのギャグをノートにまとめたり分析したりする、いわゆる“お笑いオタク”でもあった。なので、あのゲームはどちらかといえばチャンスなのである。
新学期早々、机にかじりつく息子を見て、親は勉強に励んでいると思っただろうが、実際のところは、イシカワは己の高校生活をかけてギャグを作っていたのだ。なんなら今後の人生までもが変わる気がして必死だった。
そしてなんとか朝の4時に出来上がったのが、“ターザンギャグ”だった。このギャグはターザンのように「あ~ああ~~!」とまずツルにぶらさがるような動きをして、そのまま「あ~ああ~~、ああ~~~川の流れのように~」と続けて、美空ひばりの「川の流れのように」を揺れながら歌うというギャグだ。
さすがに中学3年ぐらいになってからは、頭のなかで考えるだけで、人前でお笑いを披露するタイプではなくなっていたのだが、もはやそんなことは言っていられない。これからの学校生活がかかっているので、恥ずかしいがこのギャグをやるしかない。
明日、このギャグが決まれば……!
スラムダンクのミスも帳消しになるし、「こいつ、仲間にしたほうがいいかも」と思ってもらえるかもしれない。
そして次の日、学生生活を左右する大勝負の時間が来た。いつものように一発ギャグのゲームが廊下で始まる。しかしイシカワはすぐにはその輪には入らない。何人かやったあとのほうが、空気があったまっているからだ。ふだんはイシカワをいじめているヤツらが、今日ははからずもイシカワのために前説をしているわけだ。準備は整った。そしてタイミングをみはからいグループの近くに飛び込んだ。
すると一瞬、空気が止まったが、リーダー格の黒川という男子は「変人くんのギャグを見ようぜ、みんな」とハードルを上げてきた。
「よし、来た!」
困った顔をして「やってみる」と口では言ったが、内心では「やっと中学のときのような、明るい自分を少し出せる。俺にはターザンギャグがある。こいつらは俺が昨夜、ギャグをあっためていたことを知らない」と思っていた。
そして力を振り絞り起死回生の一発ギャグをやった――しかしその結果、まさかの静寂に包まれた。ただ、それは至極当然で、全員、「イシカワで笑おう」なんていう気はいっさいなかったのだ。
「じゃあ、スベッたから罰ゲームな」と言われると、イシカワは肩を順番に思いっきり殴られた。人生で初めて受ける暴力で、つい顔が泣きそうになった。しかし無理やり引きつった笑顔を作った。ここで笑ったら仲間っぽくなれるかもしれない。一連のやりとりを周りのみんなは遊びと捉えて、「イシカワは面白いんだ」と冷たい視線が尊敬の眼差しに変わるかもしれない。そう思って、殴られても殴られても、無理やり笑った。だが、心は泣いていた。
その日、家に帰って風呂に入るとき、洗面台の鏡を見て、肩にアザがたくさんできていることに気づいた。人生で初めて、親や妹に見られないようにコソコソとアザを隠しながら風呂に入った。
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■いじめの突破口ならず…「殴られても、無理やり笑った」
一発ギャグがウケると盛り上がり、スベるとみんなから肩にパンチを受ける。そういう身体を張ったゲームをしていた。あまり見かけることのないゲームのようだが、このクラスの廊下では流行っていた。お笑い好きのイシカワにとっては、「ここに入っていけば状況が変わるかもしれない」と大きなチャンスに見えた。
このゲームがいじめ脱出の突破口になるかもしれない。
その晩、家でノートを開いて、一発ギャグを作りはじめた。大阪育ちのイシカワも例に漏れずお笑いが好きで、中学のときは、テレビのギャグをノートにまとめたり分析したりする、いわゆる“お笑いオタク”でもあった。なので、あのゲームはどちらかといえばチャンスなのである。
新学期早々、机にかじりつく息子を見て、親は勉強に励んでいると思っただろうが、実際のところは、イシカワは己の高校生活をかけてギャグを作っていたのだ。なんなら今後の人生までもが変わる気がして必死だった。
そしてなんとか朝の4時に出来上がったのが、“ターザンギャグ”だった。このギャグはターザンのように「あ~ああ~~!」とまずツルにぶらさがるような動きをして、そのまま「あ~ああ~~、ああ~~~川の流れのように~」と続けて、美空ひばりの「川の流れのように」を揺れながら歌うというギャグだ。
さすがに中学3年ぐらいになってからは、頭のなかで考えるだけで、人前でお笑いを披露するタイプではなくなっていたのだが、もはやそんなことは言っていられない。これからの学校生活がかかっているので、恥ずかしいがこのギャグをやるしかない。
明日、このギャグが決まれば……!
スラムダンクのミスも帳消しになるし、「こいつ、仲間にしたほうがいいかも」と思ってもらえるかもしれない。
そして次の日、学生生活を左右する大勝負の時間が来た。いつものように一発ギャグのゲームが廊下で始まる。しかしイシカワはすぐにはその輪には入らない。何人かやったあとのほうが、空気があったまっているからだ。ふだんはイシカワをいじめているヤツらが、今日ははからずもイシカワのために前説をしているわけだ。準備は整った。そしてタイミングをみはからいグループの近くに飛び込んだ。
すると一瞬、空気が止まったが、リーダー格の黒川という男子は「変人くんのギャグを見ようぜ、みんな」とハードルを上げてきた。
「よし、来た!」
困った顔をして「やってみる」と口では言ったが、内心では「やっと中学のときのような、明るい自分を少し出せる。俺にはターザンギャグがある。こいつらは俺が昨夜、ギャグをあっためていたことを知らない」と思っていた。
そして力を振り絞り起死回生の一発ギャグをやった――しかしその結果、まさかの静寂に包まれた。ただ、それは至極当然で、全員、「イシカワで笑おう」なんていう気はいっさいなかったのだ。
「じゃあ、スベッたから罰ゲームな」と言われると、イシカワは肩を順番に思いっきり殴られた。人生で初めて受ける暴力で、つい顔が泣きそうになった。しかし無理やり引きつった笑顔を作った。ここで笑ったら仲間っぽくなれるかもしれない。一連のやりとりを周りのみんなは遊びと捉えて、「イシカワは面白いんだ」と冷たい視線が尊敬の眼差しに変わるかもしれない。そう思って、殴られても殴られても、無理やり笑った。だが、心は泣いていた。
その日、家に帰って風呂に入るとき、洗面台の鏡を見て、肩にアザがたくさんできていることに気づいた。人生で初めて、親や妹に見られないようにコソコソとアザを隠しながら風呂に入った。
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