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エンドツーエンド光接続時の波長を有効活用する長距離光伝送技術を確立 ~光と電気アナログ信号による波長変換技術を活用した光ノードシステムを開発~

発表のポイント:

エンドツーエンド光パスを提供する光ノードシステムを研究開発しているNTTと、光パスの波長を任意の波長に変換できる波長変換技術を研究開発しているNECは、波長を変換しながら長距離伝送を可能にする技術を確立しました。
光パスに4回の波長変換を施しても3,000 km以上の伝送性能を確保できることを実験により確認しました。
本技術の実現は、柔軟な波長設定を可能にするため、APNの適用エリア拡大に貢献します。

 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)と日本電気株式会社(本社:東京都港区、取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田 隆之、以下「NEC」)は、IOWN オールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network、以下「APN」)の適用エリア拡大に向けて必要となる波長アダプタ機能を有した光ノードシステムを開発し、本光ノードシステムが複数回の波長変換を行いながら長距離伝送可能であることを実証しました。将来的には、この波長アダプタ機能を有した光伝送システムをAPN装置として実現することが期待されます。
 本研究成果の一部は、2024年11月25日~29日に開催されるNTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL(※1)に展示予定です。

1.背景
 IOWN構想では、光技術を最大限に活用したAPNにおいて、大容量・低遅延なエンドツーエンド光パス(※2)を、消費電力を抑えつつユーザーに提供します。これにより、工場DXやインタラクティブなライブ映像配信サービス、遠隔手術を可能にすることが期待されています。より広範囲にエンドツーエンド光パスを提供するためには、割り当てられた波長が異なる光パスをつないでいくことが求められます。これは、APN内の光パスが経由する光ノードシステムにおいて、光パスの波長を低遅延かつノージッタに所望の波長に変換することで実現可能です(図1)。
 NTTでは、APNを構成する光ノードシステム「Photonic Exchange」を研究開発してきました。長距離のエンドツーエンド光パスを効率的に提供するためには、Photonic Exchangeが光パスの波長を所望の波長に変換して適応させる波長アダプタ機能と、伝送性能の確保を両立する必要があります。NECは、各光パスの波長を任意の他の波長に変換できる光-電気アナログ-光(Optical-Analog-Optical、以下「OAO」)型波長変換技術の研究開発を進めてきました。今回、NTTが研究開発を進めているPhotonic ExchangeにNECが研究開発を進めているOAO型波長変換技術を活用して、波長アダプタ機能の実験実証を行いました。


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図1:Photonic Exchangeの波長アダプタ機能による、エリアごとの未使用な波長を使用したエンドツーエンド光パス提供の概要図

2.技術のポイント
① Photonic Exchange
 従来の光ノードシステムは、接続先に合わせて光パスの方向を物理的に切り替えるクロスコネクト機能や、ネットワークに光パスを出し入れする機能を有していました。Photonic Exchangeではさらに、接続先の未使用な波長に合わせて波長を適用させる波長アダプタ機能を具備します。波長アダプタ機能を長距離なエンドツーエンド光パスに適用するためには、波長変換による信号影響を抑制する必要があります。そこで、適用する波長変換方式の物理現象を踏まえて信号品質を推定し、波長変換による信号影響を抑制した光ノードシステム構成を設計しました(図2(A)) 。これにより、エリアごとの使用されていない波長を有効活用した長距離のエンドツーエンド光パスの提供に貢献します。

② OAO型波長変換器
 OAO型波長変換器は、Photonic Exchangeの波長アダプタ機能を実現するために必要となる、光パスの波長を任意の波長に変換することが可能です。従来の波長変換手法では、電気デジタル信号処理部分に起因した遅延や揺らぎが生じていました。OAO型波長変換器は、光信号から電気アナログ信号への変換に留め、電気デジタル信号へ変換することなく波長を変換することが可能です(図2(B))。これまでデジタル信号処理で生じていた遅延や揺らぎをなくすことができることから、低遅延かつノージッタなエンドツーエンド光パスの特徴を損なわずに光パスの波長を変更することができます。


[画像2]https://digitalpr.jp/simg/2341/98695/700_300_202411111640266731b4ea5434f.png


図2:波長アダプタ機能を実現するための要素技術

3.実験の概要
 Photonic Exchangeの波長アダプタ機能を適用した場合のエンドツーエンド光パスの伝送性能を評価するために、NTTとNECは共同で伝送実験評価を行いました。OAO型波長変換器のプロトタイプを使用して、1周回あたり2個のOAO型波長変換器を含む周回伝送実験系を構築しました(図3)。この実験系を使用して、複数回の波長変換を伴う100Gbps/λの光信号品質を測定しました。その結果、4回の波長変換を施しても3,000 km以上の伝送性能の確保ができたことを確認しました。さらに、本実験で使用したOAO型波長変換器では、従来の波長変換手法と比較して、波長変換により生じる消費電力を約90%削減、遅延量を約99%削減することができました。
 本実験で確認できた伝送距離は、日本で提供することを想定した場合、本州を縦断できる距離に相当します。これにより、工場DX、インタラクティブなライブ映像配信サービス、遠隔手術等のIOWNサービス提供エリアの拡大に寄与します。また、本実験で複数回の波長変換を確認できたことから、異なる事業者が管理するネットワークを跨ったエンドツーエンド光パスの実現にも貢献します。


[画像3]https://digitalpr.jp/simg/2341/98695/700_606_202411111640266731b4ea264db.png


図3:波長アダプタ機能を適用したエンドツーエンド光パスの伝送性能を評価するための実験系

4.各社の役割
NTT:
 Photonic Exchangeの研究開発
NEC:
 OAO型波長変換器のコア技術研究開発

5.今後の展開
 今後は、APNの発展に向けて、波長アダプタ機能を有したPhotonic Exchange適用のユースケース実証を進めていきます。また、IOWN Global Forumにて定義するOpen APN Functional Architectureへの提案を通じて、APNの普及展開を推進していきます。

【用語説明】
※1:「NTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL」公式サイト https://www.rd.ntt/forum/2024/


[画像4]https://digitalpr.jp/simg/2341/98695/400_277_202411111645336731b61d5dc39.png


※2:光パス
光信号の送信機から受信機までをつなぐ光信号の通り道を光パスと呼びます。各光パスは、通過する光ファイバや光ノードシステムによって構成される経路と、光信号の容量や割り当てられる波長が指定されています。



プレスリリース詳細へ https://digitalpr.jp/r/98695
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