自民党総裁選直前!麻生派裏金スクープはどのように報道されたか? 内外切抜通信社が調査レポートを発表
デジタル時代の新聞報道のポイントを解説
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メディアモニタリングを提供する株式会社 内外切抜通信社(東京都新宿区、代表取締役:近藤義昭)は、自民党麻生派の裏金の存在を立証した9月2日毎日新聞のスクープ報道をもとに、ニュースの伝播についてWebニュースを調査し、レポートを発表しました。
国会でも疑惑が指摘されていた自民党派閥「為公会」(現・志公会=麻生派)の裏金の存在について、薗浦健太郎元衆院議員の秘書が東京地検特捜部の調べに対して証言していたことが、刑事裁判確定訴訟記録を開示申請した毎日新聞によって確認、報道されました(以下、本報道)。
9月2日の朝刊1面で報じられた本報道のWebニュースの伝播を追うことで、9月27日に行われる自民党総裁選を前に、ニュースがどのように拡散していったのかを明らかにしていきます。「新聞」が読まれないといわれる中、メディアが多くの人にニュースを届けるためにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
<概要>
9月2日、毎日新聞により報道された麻生派裏金存在スクープは、8日までにWebニュース417件で報じられ、TV、ラジオ、SNSなど、毎日新聞以外のメディアでも大きな話題となりました。
本報道が拡散したポイントは、①自民党総裁候補として注目されていた小泉進次郎氏、河野太郎氏を始め、野党幹部やTV番組の識者のコメントなどがニュースとなり、さらなる報道を呼んだこと、②自民党総裁選前というタイミングで発表されたことにあります。
更なる拡散のためには、ランディングとなるコンテンツの準備、ペイウォール外からの導線の強化、新聞になじみのない人にもわかる用語の使用が考えられます。また、他社のスクープであっても、メディア間で連携し、相互の報道への信頼を可視化していくことで、新聞メディア全般への人々の信頼を培っていくことが必要だと思われます。
■調査方法
調査は、内外切抜通信社で調査している約5,000のWebニュースサイトを対象に実施しました。当社の独自ツールによる調査後、すべての記事を目視で確認し、該当記事を抽出しました。
■どのくらい報道されたか
本報道は、9月2日から8日までの1週間で合計417件のWebニュースに掲載されました。「毎日新聞」では続報含めて19記事を掲載、他の21サイトにて44記事で取り上げられました。これらの記事は「Yahoo!ニュース」を始めとしたポータルサイトや地方紙サイト等に配信され、354件の転載記事になっています。
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日付別では、2日が193記事、3日73記事、4日86記事、5日45記事、6日〜8日で20記事が掲載されました。
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サイト分類別では「Yahoo!ニュース」などのポータルが55%、地方紙11%、全国紙7%、TV局が5%となっています。
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掲載元記事(記事を編集し掲載したサイト:以下、元記事)に限定すると、全国紙が約40%(そのうち7割以上は毎日新聞)、スポーツ紙が22%、新聞社・出版社19%、TV局11%となり、大半を新聞、出版、TVという既存マスメディアのサイトが占めました。
[画像5]https://digitalpr.jp/simg/1221/95208/600_321_2024091816061866ea7bea4e57c.png
毎日新聞以外のサイトでは、「スポニチ」「東スポWeb」が5記事、「日刊ゲンダイ」「朝日新聞デジタル」「テレ朝news」が4記事、「Smart FLASH」「日刊スポーツ」が3記事を掲載しました。
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■報道の経過
2日の毎日新聞朝刊に掲載された記事「麻生派で裏金認める初の証言 元所属議員秘書が特捜部に供述」は、朝5:00にWebで公開され、「Yahoo!ニュース」、「livedoor ニュース」など、6つのポータルサイトに掲載されました。8:32には「Yahoo!ニュース トピックス」に掲載され、西田亮介氏(社会学者/日本大学危機管理学部教授)、田中良紹氏(ジャーナリスト)、鈴木崇弘氏(政策研究者)、白鳥浩氏(法政大学大学院教授)のエキスパートコメント、670件以上のコメント(9/5現在)がつきました。また、「NewsPicks」では、3件のプロピッカーのコメントが掲載されています。
自民党小泉進次郎氏が記者団の囲み取材にて、本報道について質問されコメントしたものが11:32「FNNプライムオンライン」で記事になり、「AbemaTIMES」「テレ朝news」も続きます。「FNNプライムオンライン」の記事は、「Yahoo!ニュース トピックス」で取り上げられ、白鳥浩氏(法政大学大学院教授)、牧原出氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)のエキスパートコメント、3,400件以上のコメントがつきました。
自民党河野太郎氏も同様に囲み取材での回答が「テレ朝news」「AbemaTIMES」で報じられ、小泉氏のコメントとあわせて、「毎日新聞」「朝日新聞デジタル」の他、「時事ドットコム」「47NEWS」でも報じられ、多くのサイトに転載されました。
「日刊ゲンダイ」では、本報道を「毎日新聞スクープの衝撃!」と見出しに入れて記事化、「東スポWeb」では、毎日新聞Xアカウントが本報道をポストしたものを、立憲民主党の小沢一郎氏がXで引用言及したことを紹介する形で記事にしています。
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スクープ報道に関しては、第三者によるコメントを得ることが記事として取り上げられるポイントとなりそうです。2日の報道は小泉氏、河野氏のコメントを取り上げることで、TV局系ニュース、「朝日新聞デジタル」、共同/時事通信のニュース(「47NEWS」「時事ドットコム」)と地方紙サイトなどの転載で報道されました。また、「東スポWeb」では小沢氏のXを取り上げています。小泉氏に本報道について質問したのは、毎日新聞の記者であることが「AbemaTIMES」の動画から確認できます。社内の記者で連携してコメントを取ることで、拡散の可能性が高まったといえそうです。
毎日新聞は2日20:33に「麻生派の元議員も裏金認める 『違法だと誰も思っていなかった』」と元議員の証言による続報を掲載し、「Yahoo!ニュース トピックス」にも掲載され、コメントは1,300件を超えました。この記事は翌3日朝刊の1面に掲載されています。しかし、元議員の証言よりも、初報である刑事裁判の確定訴訟記録の方が話題性が高く、多く報道されました。匿名での証言よりも刑事裁判の確定訴訟記録という公文書による裏付けが報道として大きなインパクトを持ち、拡散されることがわかります。
3日には、立憲民主党泉健太代表(当時)、日本共産党小池晃代表など、野党各党の幹部が本報道について言及し、「毎日新聞」をはじめ、「テレ朝news」「東スポWeb」で紹介されました。また、野党は自民党に対し閉会中の国会を開いて説明するよう求め、「産経ニュース」「日本経済新聞」「東スポWeb」で報じられています。
「Smart FLASH」は、本報道と「しんぶん赤旗」日曜版での以前の麻生派裏金に関する報道との違いなどを詳しく解説する記事を掲載、「日刊ゲンダイ」では麻生太郎氏の今後の動向と絡めて報じました。ラジオでは、文化放送「くにまる食堂」で本報道に言及、Webで記事となっています。また、3日のTBSラジオ「荻上チキ Session」には本報道の毎日新聞記者が出演し、記事の背景を解説しました。
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4日になると、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」内での玉川徹氏、田崎史郎氏、浜田敬子氏ら識者コメントを記事にした「スポニチ」「デイリースポーツ」「日刊スポーツ」の記事が掲載されました。「TBS NEWS DIG」は、林芳正官房長官が出演したTV番組内での本報道に関するコメントを掲載しています。「日刊ゲンダイ」では3日に続き、麻生氏の動向に関する記事を掲載しました。
[画像9]https://digitalpr.jp/simg/1221/95208/600_359_2024091816063866ea7bfe153ec.png
5日に「毎日新聞」は本報道について社説で取り上げました。「デイリー新潮」「Asagei Biz」などが小泉氏、河野氏の動向報道内で本報道に触れています。午後になると立憲民主党が国会内の会合でヒアリングを実施、国会での実態解明や政治資金規正法の抜本的な見直しを訴え、「毎日新聞」が記事にしています。「東スポWeb」では、共産党の田村智子氏が自民党総裁選候補について、裏金問題の真相究明を求めたことを報じました。
「Smart FLASH」は、すべての国民に確定申告を、という河野氏のXでの発言が本報道後、ネット上の批判を受けていることを、麻生派の裏金問題に絡めて報じています。6日以降の報道は、同様に河野氏関連の話題の中で本報道に言及されていました。初報から8日で1週間が経過し、本報道はいったん落ち着いたといえそうです。
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■拡散したポイントは?
反響がニュース化され広がる
ここまで時系列でニュースの伝播をみてきてわかったのは、「反響も含めてニュースなのだ」ということです。総裁候補として注目されていた小泉氏、河野氏の本報道へのコメントが大きく報道され、総裁選前に本報道が発表されたことが、拡散につながったといえます。立憲民主党、共産党といった野党幹部のコメント、TV報道の際の識者のコメント、ラジオでの言及もWebニュースとして報道されました。
効果的なタイミング
また、配信のタイミングは、拡散に大きく影響します。本報道は9月2日月曜日に配信されました。3日のテレビ朝日「グッド!モーニング」「大下容子ワイド!スクランブル」、4日の「羽鳥慎一モーニングショー」で特集され、「羽鳥慎一モーニングショー」でのコメントが複数サイトで記事化されています。週をまたぐと話題性も低下してしまうようです。
■さらなる拡散のためには?
ランディングとなるコンテンツの準備
さらなる拡散のためには、他サイトの記事やTVなどで本報道に興味を持った人々が、本報道の意味や、これまでの裏金問題の経緯を把握できるようなコンテンツの準備が望まれます。過去の記事をリライトしたまとめとなる記事や、podcast、動画解説など、気軽に触れられるコンテンツをランディングポイント(着地点)として準備しておくとよいでしょう。本報道が何にどう影響するのかという社会的な意味付けについても説明があるとよさそうです。
ペイウォール外からの導線強化
9月3日に「yahoo!ニュース」など6サイトに掲載された記事「『記憶では…』『お答えできない』 裏金疑惑に口閉ざす麻生派議員」は、2日の「毎日新聞」「疑惑に口閉ざす麻生派議員ら 裏金証言の元秘書も『時効でしょ』」をリライトしたものです。この記事は毎日新聞サイトのペイウォール(課金の壁)内にあり、有料会員以外には読めません。このようなペイウォール内の記事を広く読めるようにし、ランディング用のコンテンツや有料記事に誘導するのもよいでしょう。
各種SNSをTVで言及されたタイミングやラジオ出演したタイミングで投稿することや、SNS用の告知動画の作成など、あらゆるチャネル(流通経路)を活用することは必須となります。
新聞を読まない人でもわかる言葉の使用
「東京地検特捜部」「刑事裁判の確定記録」「開示申請」などの用語は、記者や新聞の熱心な読者以外にはなじみのない言葉でしょう。用語解説の追加やペイウォール外の記事では平易な言葉で言い換えることで、本報道が広く認知され、報道の意義を理解してもらうことにつながります。
■毎日新聞の報道について、各サイトはどのように言及したのか
毎日新聞の報道について、各サイトはどのように言及したのでしょうか。記事内で“毎日新聞”の報道である旨を明記したのは19記事でした。サイト別にみると、13サイトが1度は毎日新聞に言及、7サイトは「一部報道」などとし、毎日新聞への言及はありませんでした。「日刊ゲンダイ」「Smart FLASH」「デイリー新潮」といった夕刊紙、週刊誌サイトでは、「毎日新聞のスクープ」と明記し、報じていました。全国紙では、「朝日新聞デジタル」「産経ニュース」が毎日新聞と明記、「日本経済新聞」は「一部報道」と記載していました。読売新聞での報道は確認できませんでした。朝日新聞、産経新聞は紙面にも毎日新聞と明記して掲載しています。
[画像11]https://digitalpr.jp/simg/1221/95208/600_364_2024091816064666ea7c06cb160.png
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■垣根を越えて連携し、信頼の可視化を
自民党の裏金問題については、22年に「しんぶん赤旗」日曜版によって報じられ、日本ジャーナリスト会議のJCJ大賞を受賞、朝日新聞の「自民党派閥の裏金問題をめぐる一連のスクープと関連報道」は24年度新聞協会賞を受賞しています。近年、新聞メディアへの不信がSNSなどで広がっています。かつてのように新聞1紙で大きなインパクトを社会に与えることが難しい中、会社の垣根を越え、複数のメディアが相互に連携して報じていくことで、報道を広く伝えていく必要があります。メディア間の連携と相互の信頼の可視化は、新聞というメディアへの信頼醸成の一助にもなるのではないでしょうか。
また、発端となった「しんぶん赤旗」日曜版の報道は、膨大な政治資金報告書から、一つ一つを地道に調査し、積み上げたものです。本報道も刑事裁判の確定訴訟記録の開示申請と確認によって裏付けられました。公文書をもとにした調査報道の意義について、本報道は改めて示しました。記事の拡散のためには、こうした地道な取材による裏付けがあってこそだということは言うまでもありません。
(内外切抜通信社 クロスメディア戦略部 河原有希子)
■調査レポート・調査結果一覧
下記、当社Webサイトでも公開しています。
https://www.naigaipc.co.jp/2024/09/uraganescoop/
<株式会社内外切抜通信社について>
1939年創業のクリッピング、報道分析専門会社。新聞・雑誌・Webニュース約7,000媒体を調査員が目視により調査し、分析をおこなっています。新聞・雑誌、WEBはもちろん、TV、ラジオ、X、Instagramなど、様々なメディアに対応可能です。
【会社概要】
会社名 :株式会社内外切抜通信社(ナイガイキリヌキツウシンシャ)
所在地 :東京都新宿区大久保3-14-4 毎日新聞社早稲田別館2F
設立 :1968年(創業1939年)
代表取締役:近藤義昭
事業内容 : 新聞・雑誌・WEB・TVクリッピング・モニター調査
メディア露出の効果測定、分析業務、デジタルコンテンツ制作
本件に関するお問合わせ先
株式会社内外切抜通信社
クロスメディア戦略部・河原有希子
kawahara@naigaipc.co.jp
プレスリリース詳細へ https://digitalpr.jp/r/95208
[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1221/95208/600_338_2024091815390666ea758aba61b.png
メディアモニタリングを提供する株式会社 内外切抜通信社(東京都新宿区、代表取締役:近藤義昭)は、自民党麻生派の裏金の存在を立証した9月2日毎日新聞のスクープ報道をもとに、ニュースの伝播についてWebニュースを調査し、レポートを発表しました。
国会でも疑惑が指摘されていた自民党派閥「為公会」(現・志公会=麻生派)の裏金の存在について、薗浦健太郎元衆院議員の秘書が東京地検特捜部の調べに対して証言していたことが、刑事裁判確定訴訟記録を開示申請した毎日新聞によって確認、報道されました(以下、本報道)。
9月2日の朝刊1面で報じられた本報道のWebニュースの伝播を追うことで、9月27日に行われる自民党総裁選を前に、ニュースがどのように拡散していったのかを明らかにしていきます。「新聞」が読まれないといわれる中、メディアが多くの人にニュースを届けるためにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
<概要>
9月2日、毎日新聞により報道された麻生派裏金存在スクープは、8日までにWebニュース417件で報じられ、TV、ラジオ、SNSなど、毎日新聞以外のメディアでも大きな話題となりました。
本報道が拡散したポイントは、①自民党総裁候補として注目されていた小泉進次郎氏、河野太郎氏を始め、野党幹部やTV番組の識者のコメントなどがニュースとなり、さらなる報道を呼んだこと、②自民党総裁選前というタイミングで発表されたことにあります。
更なる拡散のためには、ランディングとなるコンテンツの準備、ペイウォール外からの導線の強化、新聞になじみのない人にもわかる用語の使用が考えられます。また、他社のスクープであっても、メディア間で連携し、相互の報道への信頼を可視化していくことで、新聞メディア全般への人々の信頼を培っていくことが必要だと思われます。
■調査方法
調査は、内外切抜通信社で調査している約5,000のWebニュースサイトを対象に実施しました。当社の独自ツールによる調査後、すべての記事を目視で確認し、該当記事を抽出しました。
■どのくらい報道されたか
本報道は、9月2日から8日までの1週間で合計417件のWebニュースに掲載されました。「毎日新聞」では続報含めて19記事を掲載、他の21サイトにて44記事で取り上げられました。これらの記事は「Yahoo!ニュース」を始めとしたポータルサイトや地方紙サイト等に配信され、354件の転載記事になっています。
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日付別では、2日が193記事、3日73記事、4日86記事、5日45記事、6日〜8日で20記事が掲載されました。
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サイト分類別では「Yahoo!ニュース」などのポータルが55%、地方紙11%、全国紙7%、TV局が5%となっています。
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掲載元記事(記事を編集し掲載したサイト:以下、元記事)に限定すると、全国紙が約40%(そのうち7割以上は毎日新聞)、スポーツ紙が22%、新聞社・出版社19%、TV局11%となり、大半を新聞、出版、TVという既存マスメディアのサイトが占めました。
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毎日新聞以外のサイトでは、「スポニチ」「東スポWeb」が5記事、「日刊ゲンダイ」「朝日新聞デジタル」「テレ朝news」が4記事、「Smart FLASH」「日刊スポーツ」が3記事を掲載しました。
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■報道の経過
2日の毎日新聞朝刊に掲載された記事「麻生派で裏金認める初の証言 元所属議員秘書が特捜部に供述」は、朝5:00にWebで公開され、「Yahoo!ニュース」、「livedoor ニュース」など、6つのポータルサイトに掲載されました。8:32には「Yahoo!ニュース トピックス」に掲載され、西田亮介氏(社会学者/日本大学危機管理学部教授)、田中良紹氏(ジャーナリスト)、鈴木崇弘氏(政策研究者)、白鳥浩氏(法政大学大学院教授)のエキスパートコメント、670件以上のコメント(9/5現在)がつきました。また、「NewsPicks」では、3件のプロピッカーのコメントが掲載されています。
自民党小泉進次郎氏が記者団の囲み取材にて、本報道について質問されコメントしたものが11:32「FNNプライムオンライン」で記事になり、「AbemaTIMES」「テレ朝news」も続きます。「FNNプライムオンライン」の記事は、「Yahoo!ニュース トピックス」で取り上げられ、白鳥浩氏(法政大学大学院教授)、牧原出氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)のエキスパートコメント、3,400件以上のコメントがつきました。
自民党河野太郎氏も同様に囲み取材での回答が「テレ朝news」「AbemaTIMES」で報じられ、小泉氏のコメントとあわせて、「毎日新聞」「朝日新聞デジタル」の他、「時事ドットコム」「47NEWS」でも報じられ、多くのサイトに転載されました。
「日刊ゲンダイ」では、本報道を「毎日新聞スクープの衝撃!」と見出しに入れて記事化、「東スポWeb」では、毎日新聞Xアカウントが本報道をポストしたものを、立憲民主党の小沢一郎氏がXで引用言及したことを紹介する形で記事にしています。
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スクープ報道に関しては、第三者によるコメントを得ることが記事として取り上げられるポイントとなりそうです。2日の報道は小泉氏、河野氏のコメントを取り上げることで、TV局系ニュース、「朝日新聞デジタル」、共同/時事通信のニュース(「47NEWS」「時事ドットコム」)と地方紙サイトなどの転載で報道されました。また、「東スポWeb」では小沢氏のXを取り上げています。小泉氏に本報道について質問したのは、毎日新聞の記者であることが「AbemaTIMES」の動画から確認できます。社内の記者で連携してコメントを取ることで、拡散の可能性が高まったといえそうです。
毎日新聞は2日20:33に「麻生派の元議員も裏金認める 『違法だと誰も思っていなかった』」と元議員の証言による続報を掲載し、「Yahoo!ニュース トピックス」にも掲載され、コメントは1,300件を超えました。この記事は翌3日朝刊の1面に掲載されています。しかし、元議員の証言よりも、初報である刑事裁判の確定訴訟記録の方が話題性が高く、多く報道されました。匿名での証言よりも刑事裁判の確定訴訟記録という公文書による裏付けが報道として大きなインパクトを持ち、拡散されることがわかります。
3日には、立憲民主党泉健太代表(当時)、日本共産党小池晃代表など、野党各党の幹部が本報道について言及し、「毎日新聞」をはじめ、「テレ朝news」「東スポWeb」で紹介されました。また、野党は自民党に対し閉会中の国会を開いて説明するよう求め、「産経ニュース」「日本経済新聞」「東スポWeb」で報じられています。
「Smart FLASH」は、本報道と「しんぶん赤旗」日曜版での以前の麻生派裏金に関する報道との違いなどを詳しく解説する記事を掲載、「日刊ゲンダイ」では麻生太郎氏の今後の動向と絡めて報じました。ラジオでは、文化放送「くにまる食堂」で本報道に言及、Webで記事となっています。また、3日のTBSラジオ「荻上チキ Session」には本報道の毎日新聞記者が出演し、記事の背景を解説しました。
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4日になると、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」内での玉川徹氏、田崎史郎氏、浜田敬子氏ら識者コメントを記事にした「スポニチ」「デイリースポーツ」「日刊スポーツ」の記事が掲載されました。「TBS NEWS DIG」は、林芳正官房長官が出演したTV番組内での本報道に関するコメントを掲載しています。「日刊ゲンダイ」では3日に続き、麻生氏の動向に関する記事を掲載しました。
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5日に「毎日新聞」は本報道について社説で取り上げました。「デイリー新潮」「Asagei Biz」などが小泉氏、河野氏の動向報道内で本報道に触れています。午後になると立憲民主党が国会内の会合でヒアリングを実施、国会での実態解明や政治資金規正法の抜本的な見直しを訴え、「毎日新聞」が記事にしています。「東スポWeb」では、共産党の田村智子氏が自民党総裁選候補について、裏金問題の真相究明を求めたことを報じました。
「Smart FLASH」は、すべての国民に確定申告を、という河野氏のXでの発言が本報道後、ネット上の批判を受けていることを、麻生派の裏金問題に絡めて報じています。6日以降の報道は、同様に河野氏関連の話題の中で本報道に言及されていました。初報から8日で1週間が経過し、本報道はいったん落ち着いたといえそうです。
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■拡散したポイントは?
反響がニュース化され広がる
ここまで時系列でニュースの伝播をみてきてわかったのは、「反響も含めてニュースなのだ」ということです。総裁候補として注目されていた小泉氏、河野氏の本報道へのコメントが大きく報道され、総裁選前に本報道が発表されたことが、拡散につながったといえます。立憲民主党、共産党といった野党幹部のコメント、TV報道の際の識者のコメント、ラジオでの言及もWebニュースとして報道されました。
効果的なタイミング
また、配信のタイミングは、拡散に大きく影響します。本報道は9月2日月曜日に配信されました。3日のテレビ朝日「グッド!モーニング」「大下容子ワイド!スクランブル」、4日の「羽鳥慎一モーニングショー」で特集され、「羽鳥慎一モーニングショー」でのコメントが複数サイトで記事化されています。週をまたぐと話題性も低下してしまうようです。
■さらなる拡散のためには?
ランディングとなるコンテンツの準備
さらなる拡散のためには、他サイトの記事やTVなどで本報道に興味を持った人々が、本報道の意味や、これまでの裏金問題の経緯を把握できるようなコンテンツの準備が望まれます。過去の記事をリライトしたまとめとなる記事や、podcast、動画解説など、気軽に触れられるコンテンツをランディングポイント(着地点)として準備しておくとよいでしょう。本報道が何にどう影響するのかという社会的な意味付けについても説明があるとよさそうです。
ペイウォール外からの導線強化
9月3日に「yahoo!ニュース」など6サイトに掲載された記事「『記憶では…』『お答えできない』 裏金疑惑に口閉ざす麻生派議員」は、2日の「毎日新聞」「疑惑に口閉ざす麻生派議員ら 裏金証言の元秘書も『時効でしょ』」をリライトしたものです。この記事は毎日新聞サイトのペイウォール(課金の壁)内にあり、有料会員以外には読めません。このようなペイウォール内の記事を広く読めるようにし、ランディング用のコンテンツや有料記事に誘導するのもよいでしょう。
各種SNSをTVで言及されたタイミングやラジオ出演したタイミングで投稿することや、SNS用の告知動画の作成など、あらゆるチャネル(流通経路)を活用することは必須となります。
新聞を読まない人でもわかる言葉の使用
「東京地検特捜部」「刑事裁判の確定記録」「開示申請」などの用語は、記者や新聞の熱心な読者以外にはなじみのない言葉でしょう。用語解説の追加やペイウォール外の記事では平易な言葉で言い換えることで、本報道が広く認知され、報道の意義を理解してもらうことにつながります。
■毎日新聞の報道について、各サイトはどのように言及したのか
毎日新聞の報道について、各サイトはどのように言及したのでしょうか。記事内で“毎日新聞”の報道である旨を明記したのは19記事でした。サイト別にみると、13サイトが1度は毎日新聞に言及、7サイトは「一部報道」などとし、毎日新聞への言及はありませんでした。「日刊ゲンダイ」「Smart FLASH」「デイリー新潮」といった夕刊紙、週刊誌サイトでは、「毎日新聞のスクープ」と明記し、報じていました。全国紙では、「朝日新聞デジタル」「産経ニュース」が毎日新聞と明記、「日本経済新聞」は「一部報道」と記載していました。読売新聞での報道は確認できませんでした。朝日新聞、産経新聞は紙面にも毎日新聞と明記して掲載しています。
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■垣根を越えて連携し、信頼の可視化を
自民党の裏金問題については、22年に「しんぶん赤旗」日曜版によって報じられ、日本ジャーナリスト会議のJCJ大賞を受賞、朝日新聞の「自民党派閥の裏金問題をめぐる一連のスクープと関連報道」は24年度新聞協会賞を受賞しています。近年、新聞メディアへの不信がSNSなどで広がっています。かつてのように新聞1紙で大きなインパクトを社会に与えることが難しい中、会社の垣根を越え、複数のメディアが相互に連携して報じていくことで、報道を広く伝えていく必要があります。メディア間の連携と相互の信頼の可視化は、新聞というメディアへの信頼醸成の一助にもなるのではないでしょうか。
また、発端となった「しんぶん赤旗」日曜版の報道は、膨大な政治資金報告書から、一つ一つを地道に調査し、積み上げたものです。本報道も刑事裁判の確定訴訟記録の開示申請と確認によって裏付けられました。公文書をもとにした調査報道の意義について、本報道は改めて示しました。記事の拡散のためには、こうした地道な取材による裏付けがあってこそだということは言うまでもありません。
(内外切抜通信社 クロスメディア戦略部 河原有希子)
■調査レポート・調査結果一覧
下記、当社Webサイトでも公開しています。
https://www.naigaipc.co.jp/2024/09/uraganescoop/
<株式会社内外切抜通信社について>
1939年創業のクリッピング、報道分析専門会社。新聞・雑誌・Webニュース約7,000媒体を調査員が目視により調査し、分析をおこなっています。新聞・雑誌、WEBはもちろん、TV、ラジオ、X、Instagramなど、様々なメディアに対応可能です。
【会社概要】
会社名 :株式会社内外切抜通信社(ナイガイキリヌキツウシンシャ)
所在地 :東京都新宿区大久保3-14-4 毎日新聞社早稲田別館2F
設立 :1968年(創業1939年)
代表取締役:近藤義昭
事業内容 : 新聞・雑誌・WEB・TVクリッピング・モニター調査
メディア露出の効果測定、分析業務、デジタルコンテンツ制作
本件に関するお問合わせ先
株式会社内外切抜通信社
クロスメディア戦略部・河原有希子
kawahara@naigaipc.co.jp
プレスリリース詳細へ https://digitalpr.jp/r/95208
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