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高校の15年後を議論 少子化受け和歌山県総合教育会議

これからの高校教育はどうあるべきかについて、知事や教育長らが話し合った和歌山県総合教育会議(27日、和歌山県庁で)
これからの高校教育はどうあるべきかについて、知事や教育長らが話し合った和歌山県総合教育会議(27日、和歌山県庁で)
 和歌山県の知事や県教育委員会が県教育について話し合う「県総合教育会議」が27日、県庁であった。少子化が進行する中、15年後には県内の中学校卒業生が3割減少すると見込まれることを受け、高校の再編統合や存続の可能性、子どもの個性に応じた高校の在り方などについて話し合った。

 県教委によると、今春の県内中学校卒業生は8629人。平成が始まった1989年は1万8014人で、ここ30年間で9千人以上減少した。今後さらに減少が続き、15年後の2034年には今より約2700人少ない5974人と推計される。宮﨑泉県教育長は「今後、高校数を減らさないといけない状況になるのは否めない。生徒数の減は県南部ではさらに顕著になる。一方で、地域に残すためにはどんな学校にするかなどを議論したい」と促した。

 その上で、学力やスポーツ、芸術、文化など子どもの能力を十分に発揮できる高校をどうつくるかについて「例えば、難関大学に入学実績があるのは一部の進学校に限られているが、どの地域の拠点校でも優秀な子どもが育つ可能性を高めたい。そのために、教員の資質向上に取り組みたい」と説明した。

 教育委員からは「県内高校から難関国公立大学への進学率は、近畿の中でも低い。先生の質が悪いのではなく、大学受験のテクニックを学んでくる必要がある。ただ、それが今後大事なのか。大学入試制度も変わっていく中で、進学の数字より、子どもが卒業後にどう生きたかが大事」と問題提起した。

 これを受け、仁坂吉伸知事は「偏差値が高い大学に入っても、長い目で見れば、その後の活躍に関係ない。勉強したい人は入ればいいが、テクニックで難関大学に無理に入れる必要はない」と話した。また、高校入試制度で学区制を廃止し、全県1区になっていることについて「影響を分析してはどうか」とも提案した。一方、スポーツや芸術、文化については「勉強に縛られないで、専門的に養成する学校はあってもいい。費用対効果を議論するのはいいのではないか」とした。

 このほか、地域社会の維持発展が可能な再編整備の在り方、不登校経験者やさまざまな悩みを抱える生徒への支援、各学科の特長をどう活性化するかなども話し合った。

 教育委員からは小規模校について「地元の子どもだけでなく、エリート校への進学をやめてでも行きたいと思うような特色を持たせてはどうか。そうしないと残していけない。他県の地方大学で事例があるので、やれないことはない」「学力の高い子だけでなく、社会から脱落しそうな子どもも支えないといけない。高校卒業後に直接社会に飛び込む子もいる。外部の専門家から協力を得るなどし、対応できる高校を期待したい」などと意見があった。

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