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球児の成長支えた池田さん 南部高軟式野球部監督に「育成功労賞」、日本高野連

日本高野連から育成功労賞を受けた池田哲也さん(和歌山県みなべ町芝の南部高校で)
日本高野連から育成功労賞を受けた池田哲也さん(和歌山県みなべ町芝の南部高校で)
 和歌山県の南部高校軟式野球部監督の池田哲也さん(54)が、日本高校野球連盟と朝日新聞社が高校野球の育成と発展に尽くした指導者を表彰する「育成功労賞」に県内から選ばれた。同校軟式野球部を全国大会に導くなど、約30年間、野球を通じて生徒たちの成長を支えた。池田さんは「野球がなければ今の自分はない。今後も野球に携わって恩返しがしたい」と話している。

 池田さんは熊野高校と東京農業大学の硬式野球部で活躍。大学卒業後、高校教員になり、1993年、24歳の時から熊野高硬式野球部の監督を6年間務めた。

 2001年4月から南部高軟式野球部の監督に就任。14年には夏の全国大会でベスト8、同年の長崎国体では高校軟式野球の部(公開競技)で全国優勝した。19年夏も県大会と近畿大会で優勝し、全国大会に出場。21年夏は軟式野球部の選手は3年生6人だけだったが、同じ高校の生徒を加えて県大会で優勝した。

 池田さんは高校時代は1年生の秋からエース、大学では4年時に主将を務めるなど中心選手として活躍した。南部高軟式野球部には野球の技術を追求しようと入部する生徒も少なくなかったといい「若い時は一緒にプレーするなどして、生徒の高い能力を生かすためにサポートした」と話す。社会人野球のヤマハで活躍する九谷青孝投手(33)は同校軟式野球部の出身で、東京農業大に進学してから硬式に転向した。

 一方で野球が未経験の生徒が入部することもあった。自身もゴルフを始めたばかりだったため「できない気持ちが分かった」という。一緒に練習し、練習試合を数多く組むなど活躍の場を与えることで自信をつけさせた。部員には「公式戦でのプレーは全部100点」と言い、試合でミスをしても責めなかった。

 オフシーズンには自分たちで遠征費を稼いで社会勉強もしてもらおうと、学校の許可を得て、部員たちに町内の宿泊施設でのアルバイトを紹介した。

 硬式、軟式の教え子たちとは今も、一緒に釣りをするなど交流を続けているという。

 県内で高校軟式野球部の部員や加盟校が減り続けている。二十数年前は12校が加盟していたが、22、23日に海南市である第68回全国高校軟式野球選手権和歌山大会に出場するのは、桐蔭、耐久、向陽の3校。南部は22年以降部員がおらず、廃部の危機が迫っている。

 池田さんは「野球の楽しさは今も昔も変わらない。硬式、軟式にかかわらず、自分のように小柄な選手でも考えて野球をすればやり方次第で何とかなるところが魅力。これからも野球を通じて子どもたちと接していきたい」と話している。

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