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改めて「世界」目指す 南紀熊野ジオパーク推進協議会

事業計画などを決めた南紀熊野ジオパーク推進協議会の総会(和歌山県上富田町で)
事業計画などを決めた南紀熊野ジオパーク推進協議会の総会(和歌山県上富田町で)
 南紀熊野ジオパーク推進協議会は4月28日、和歌山県上富田町の上富田文化会館で総会を開いた。「南紀熊野ジオパーク」は、昨年の日本ジオパーク委員会による審査で、ユネスコ世界ジオパークへの国内推薦が見送られたが、この日の総会で会長の岸本周平知事は改めて世界ジオパークを目指す考えを示した。本年度の事業計画には地域との連携協働を進めるための事務局の移転や、ホームページの英語版改修など改善策を盛り込んだ。

 総会では、世界ジオパークの国内推薦に関する日本ジオパーク委員会の審査結果の概要が報告された。南紀熊野ジオパークの優れている点として、地質学的な国際的価値やJR西日本など推進事業者との連携、活動に参加する若い世代の増加などが挙げられた。

 一方で課題として、ジオパークや世界遺産、国立公園などの領域を明確にしたマップの作成、地質学的な価値を分かりやすく伝える工夫、世界文化遺産やラムサール条約登録湿地などとの連携、相乗効果を生む具体的な活動についての検討の必要性などの指摘があった。

 そうした指摘も踏まえ、事業計画にはジオサイトや国立公園、世界遺産などの領域マップの作成、インバウンド(訪日外国人客)対応の英語版ホームページの改修、ジオパークの魅力を深く知ってもらい、PRにつなげるための推進事業者向けツアーの開催などを盛り込んだ。

 また、委員会の審査では、推進協議会事務局がエリア外の県環境生活総務課ジオパーク室(和歌山市)に置いて、全体運営を行っている点について改善が必要と指摘。今回の規約改正で、事務局を県立南紀熊野ジオパークセンター(串本町)に置くこととした。

 ジオパーク内のサイトの法的保護などの保全状況や、モニタリングといった保全に関する具体的施策などをまとめた「南紀熊野ジオパーク保全計画」も策定したと報告があった。

 世界ジオパークについて、岸本知事は「宿題をいろいろ頂いており、一つ一つクリアしながら頑張っていきたい」と述べ、関係者の協力を求めた。

 意見交換では、外国からの来訪者の対応として振興局に通訳を置くなどといった県の支援や、熊野古道とジオとの連携、交流の推進を求める声もあった。

 南紀熊野ジオパークの範囲は、紀伊半島南部の県内9市町村と奈良県十津川村の一部。プレートの沈み込みによってできた3種類の大地(付加体、前弧海盆堆積体、火成岩体)で構成され、見どころも多く、世界的にも注目される地質的価値がある。

 14年に日本ジオパークに認定され、日本ジオパーク委員会による審査で19年、22年に再認定された。

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