和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

【動画】和歌山県の新知事に岸本氏 大差つけ初当選

 27日に投票、即日開票された和歌山県知事選で、無所属新顔で前衆院議員の岸本周平氏(66)=自民、立憲、国民推薦=が初当選した。同じく新顔で無所属の政治団体「新党くにもり」元代表の本間奈々氏(53)と共産公認で党県常任委員の松坂美知子氏(66)を大差で破った。投票率は39・86%(前回38・33%)。


 仁坂吉伸知事(72)の退任表明を受け、16年ぶりに新顔同士の対決となった選挙戦。新型コロナウイルス禍で疲弊した地域経済の立て直しや子育て支援、災害対策などが問われた。

 岸本氏は5月に真っ先に立候補を表明。衆院時代の選挙区である和歌山1区(和歌山市)では知名度が高かったものの、紀南ではあまり知られておらず、表明会見後すぐに紀南の各市町村を積極的に回った。

 衆院時代から「どぶ板選挙で戦ってきた」といい、紀南でも多くの人、団体に会うことで地域ごとの課題を感じてきたという。街頭演説では「市町村が主役」と、主要政策だけでなく、訪れたまちごとの話題にも触れた。

 国政選挙でライバル関係にあった自民をはじめ、国民民主や立憲民主、社民県連など政党、各種団体の推薦も幅広く集め、組織票を固めた。

 本間氏は「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)」誘致やメガソーラー施設設置の反対を、松坂氏は「暮らしや命を大事にする県政へと切り替える絶好機」などと訴えてきたが浸透しきれなかった。

 【岸本周平氏の略歴】

 前衆院議員(経済産業相政務官、財務省国庫課長)東京大卒▽和歌山市

■「チーム和歌山で前進」

 開票開始の午後8時早々に「当選確実」の一報が入ると、和歌山市屋形町の事務所前に集まった支援者から大きな拍手が起こった。まもなくして姿を見せた岸本氏は、支援者から受け取った花束を笑顔で高く突き上げた。

 あいさつでは、支援について謝辞を述べた上で、和歌山は一つのチームだと強調。「選手は市町村長、監督は県議会。私は『チーム和歌山』のマネジャーとして、県職員と一緒に、選手と監督が働きやすい環境を必死でつくっていきたい」と訴えた。

 さらに「私たちが目指すものは、仁坂吉伸知事が16年間築き上げてきた県政を継承し、さらに前に一歩進めること。和歌山が最高だと子どもたちが思う未来をつくりたいので、より一層のご支援ご協力をお願いしたい」と呼びかけた。

 二階俊博衆院議員や世耕弘成参院議員ら県内選出の自民党の国会議員らも応援に駆け付けた。二階議員は「岸本新知事を先頭にして、和歌山がさらに発展できるよう、皆で頑張ろうではありませんか。知事だけに任せておいたらいいものではなく、皆が支えることが大事」と呼びかけた。仁坂知事も岸本さんと何度も固い握手を交わし「立派な後継者ができた」と喜んだ。


■「今後も県政をチェック」本間氏

 本間氏は支援者を前に「皆さまのおかげで最後まで戦えた」と感謝した。今後については「政治活動を続け、県政をしっかりとチェックしていきたい」と述べた。

 今回の選挙については「巨象に立ち向かうアリのように勝つのは非常に難しいと覚悟を決めていた」と述べ、繰り返し訴えた子どもへのコロナワクチン反対や第1次産業を守る方針などで「多くの人に共感してもらえた」と振り返った。新知事には「各政党の言いなりにならず、県民の心に寄り添ってやってもらいたい」と注文を付けた。

■「励ましに支えられた」松坂氏

 松坂氏はスタッフらの前で「私の力不足」とわびた上で「励ましに支えられて戦えた」とも語った。

 立候補の表明は10月で、3人の中では最も遅かったが、「精いっぱいやった」と振り返った。

 演説は毎回、心を込めた。ある場所で「私の言いたいことを全部言ってくれた」と声をかけられ、報われたという思いがあるという。

 今後は、選挙で訴え続けた「暮らしやすい、誰一人取り残さない社会にしていくための活動を続けたい」と話した。

花束を受け取り、喜びをかみしめる岸本周平氏(27日午後8時すぎ、和歌山市で)
花束を受け取り、喜びをかみしめる岸本周平氏(27日午後8時すぎ、和歌山市で)
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