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わなの作動をメールで通知 有害獣捕獲、農家の負担軽減

くくりわなとともに、子機を設置する日向屋のメンバー(和歌山県田辺市上芳養で)
くくりわなとともに、子機を設置する日向屋のメンバー(和歌山県田辺市上芳養で)
山頂に設置している親機
山頂に設置している親機
 和歌山県の田辺市鳥獣害対策協議会は、獣害対策で仕掛けたわなが作動すると、どのわなに獣がかかったか、自動的にメールで通知される長距離無線式システムを同市上芳養で運用している。農業関係者からは「わなを見回る負担が軽減された」と評価を得ている。

 このシステムは「ほかパト」と呼ばれ、三重県のメーカーが開発。親機と子機を使って中山間部でも安定して無線がつながるシステム。それぞれのわなに子機が設置されており、獣がかかると親機に通知し、親機からスマートフォンにメールが入る。GPSでわなの位置も分かる。親機1台で子機千台まで接続できるという。

 獣害対策では、各地に仕掛けた複数のわなを見回って獣がかかっているかどうか確認するのが負担となる。

 協議会は情報通信技術(ICT)を活用した獣害対策の一環で、労力軽減につなげようと、獣害対策に取り組む上芳養の農業会社「日向屋」に協力を依頼。同社に貸し出す形で昨年10月以降、地域の山に機材を設置した。導入費は約180万円、通信費は年間2万4千円。

 地域では、農作物に被害をもたらすことが多いイノシシとシカを「くくりわな」で有害捕獲している。現在50のわなを仕掛けているうち、30のわなに子機を取り付けた。

 通常は毎朝、わなの見回りをしなければいけないが、一つの山に子機30台を設置したことで、メールで知らせがあった時にだけ、そのわなの場所に行けばよくなった。わなを一つずつ確認して回る手間やガソリン代など、かなりの負担軽減になっているという。また、そのことでわなを仕掛ける範囲を広げたり、他の作業や対応に当たることもできるという。

 日向屋の岡本和宜代表は「システムはうまく作動しており、本当に楽になった。このシステムが各地域にさらに広がっていくと、市内全体の効率的な捕獲につながるのではないかと思う」と話す。

 協議会は「今回の運用状況で導入効果を検証し、今後、どのように活用を広げていくか検討していきたい」という。

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