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不作で価格も低調 田辺・西牟婁の20年度産ミカン

極早生の温州ミカンを収穫する農家。20年度は産地全体で収穫量は少なかった(昨年9月、和歌山県田辺市で)
極早生の温州ミカンを収穫する農家。20年度は産地全体で収穫量は少なかった(昨年9月、和歌山県田辺市で)
 和歌山県田辺・西牟婁地方で栽培される温州ミカンの2020年度産の収穫量は、19年度と同じように少なく、全国の市場での価格も低調だった。育った実が少なく、大玉になったことから品質が落ち、価格低下につながった。しかし品質の良いミカンは安定した価格だったという。


 JA紀南営農指導課によると、20年度産の収穫量は9019トン。14~19年度の平均(9536トン)の94・6%にとどまった。過去10年間では、17年度の8905トン、19年度の8981トンに次いで3番目に少なく、1万1214トンで最も多かった14年度の80%しかなかった。

 収穫量の少なさは、5月の乾燥により生理落果がかなりあり、実の数が少なくなったのが最大の要因。ただ近年、農家が減っていることや、他の作物への転換で栽培面積が減っているのも影響しているという。

 実の少なさから、品質の良いミカンに仕上げるための夏場の摘果ができず、それに加え秋に多く降った雨によって大きく育ち、糖度、酸度のいずれも低いミカンになったという。

 このため、収穫量が少ないにもかかわらず、品質低下により、市場での価格は低調。

 販売課によると、JAを通じて全国の市場に出荷された1キロ当たりの平均価格は229円で、19年度より5円安くなった。近年では味の良さから市場での評価が高く、16年度には250円を超え、17年度には285円の高値となったが、その後、3年連続で下がっている。

 JAが販売に力を入れる糖度が高い「木熟みかん」も259円で、同じように3年連続で下がり、19年度より42円安かった。

 同課は「大玉になったのが響いた。しかし後半は雨が少なく、味がしまった。品質の良いミカンの評価はある程度維持できた」としている。

 JA紀南みかん部会長の前田泰輔さん(48)=上富田町岡=は「昨年は自然に振り回された。5月の生理落果が最後まで響いた。今年は順調にきており、今のところ期待できる」と話している。

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