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新型コロナ、和歌山県内初確認から1年 見えてきた傾向と対策

「ドライブスルー方式」の検査イメージ(和歌山県田辺市朝日ケ丘で)
「ドライブスルー方式」の検査イメージ(和歌山県田辺市朝日ケ丘で)
 和歌山県内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されて、13日で1年となった。田辺保健所管内の累計感染者は12日現在92人、検査数は2千人を超えている。感染拡大と戦った1年を田辺保健所の和田安彦所長に振り返ってもらった。


 昨年2月13日に湯浅町で、県内初の感染者が確認された。当時、感染経路は判明していなかった。「田辺管内でも時間の問題だ」。湯浅保健所に応援を派遣するなど一気に緊張感が高まった。

 3~4月に田辺管内でも感染者が出た。PCR検査(遺伝子検査)の対象となる濃厚接触者が急増したため、自家用車に乗ったままで検体を採取する「ドライブスルー方式」を導入した。現在もすぐに検査ができるよう、西牟婁振興局の駐車場の一部を閉鎖している。

 「当時は調査も手探り。ただ、感染者が勤務していた店舗で他者への感染はなかった。同じ空間にいるだけでは、そこまでリスクは高くない。換気が悪く、人が密集して不特定多数と接触する場合に感染していることが分かってきた」という。

 田辺保健所が多忙を極めたのが夏場の第2波。管内でもクラスター(感染者集団)が発生した。ただ、この頃になると検査体制も充実。リスクが高いと考えられる人を次々PCR検査していった。

 県環境衛生研究センターが1日に検査できる検体は当初20検体だったが、現在は150検体。民間の医療機関などを含めると3800検体以上が可能だという。

 検査や感染者への聞き取りから、感染の傾向や対策も見えてきた。潜伏期間は5~6日程度。短い人で3日、長い人で10日ほどだった。ウイルスの排出は発症前後で、特に直後の感染力が高いという。

 「こうしたデータは、感染者が調査に協力してくれたからこそ得られた。保健所としては、ともにコロナと戦った戦友のような意識。復帰した感染者を地域や職場でも温かく迎えてもらいたい」と呼び掛ける。

 田辺保健所では現在、病院や診療所、医師会と一緒にコロナワクチンの接種に向けた準備を進めている。「多忙な中、皆さん協力的で調整ができつつある。感染抑止の効果は大きいと考えており、全力で取り組みたい」と話した。

■対策は意味を考えて

 ウイルス感染の二大要因は、接触と飛沫(ひまつ)。「基本は手洗いとマスク着用。せっけんの成分にはウイルスを除去、分解する作用がある。アルコール消毒がなくても、こまめに手を洗えばいい。マスクの素材で、ウイルスの侵入をブロックする力が高いのは不織布。選ぶ際の参考にしてほしい」と話す。

 さまざまな感染防止策があるが「行動の意味や仕組みを理解することが大切」と指摘する。例えば車内の換気。「窓は天気や走行状況によって開けられない。車には『外気導入』と『内気循環』の機能が付いているが、意識していない人が意外と多い。エアコンと『外気導入』で換気ができる」と説明する。

 飲食店の利用にも誤解がある。「危険なのは外食ではなく会食。感染しているのはマスクを外して、普段顔を合わさない人と会話しながら食事した場合。酒が入ると声も大きくなり、飛沫も飛びやすい。一人で黙って食事をするのとは条件が違う」と指摘した。

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