和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年10月17日(日)

コロナ危機 私たちにできること/(5)/和歌山大学観光学部教授/木川 剛志さん(43)/社会的価値に転換を

きがわ・つよし 専門は建築・都市形態学。短編映画の制作も手掛ける。
きがわ・つよし 専門は建築・都市形態学。短編映画の制作も手掛ける。
 ――新型コロナウイルスで打撃を受けた産業にどんな対策が必要ですか。

 災害復興に似ています。自分たちがどんな状況にいるか理解し、ステージに合わせた対応、そして次のステージをにらんで行動することです。

 災害対応では(1)避難生活期(2)復興始動期(3)本格復興期があります。観光業、飲食業は(1)と同等の状態です。さらに大きな問題はこの「避難生活」がいつまで続くか見えないこと。でも、次を見据えた行動も必要です。持ち帰りメニューや前売り券の販売、オンライン飲み会などそうした動きも出てきています。

 ――現在、多くの店が営業を自粛しています。

 生命と経済、両方を守るバランスが大事です。一方に偏るとコロナ感染による死を抑えられても、倒産などに伴う関連死が増えてしまいます。

 飲食店は組合単位で営業について考えてもいい。個室で対応できる店もありますし、どこか1店でも感染者が出れば営業を停止するなどと決めれば、各店とも対策を徹底するはずです。

 ――観光は好況から一転、暗転しました。

 観光はコロナ以前から多くの課題を抱えていましたが、訪日外国人客の増加で生きながらえていた面があります。

 問題点の一つが地域扶助力の低下です。人口減少が進む中、観光は関係、交流人口を増やし、地域を豊かにする事業のはずですが、地域分断の一要因にもなっていました。

 例えば、白浜町は日本を代表する観光地ですが、夏が繁忙期、冬は閑散期として回していては駄目です。一年を通じての雇用がないので、町民の平均所得は県内でも低い方。住民と一緒に豊かになる観光地になっていません。

 ――コロナ後を見据え、どんな取り組みが必要ですか。

 経済的価値から社会的価値が重視される世の中に転換されるべき。持続可能な観光を改めて目指せる時期かもしれません。ハワイでは在宅を応援しながら、コロナ後に訪れたくなるようなメッセージを発信しています。紀南でもそうした動きが広まってほしいです。
(聞き手は喜田義人)