和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月23日(土)

新型コロナ、100床態勢に 患者増に備え和歌山県

新型コロナウイルス感染症の医療体制強化のイメージを説明する仁坂吉伸知事(12日、和歌山県庁で)
新型コロナウイルス感染症の医療体制強化のイメージを説明する仁坂吉伸知事(12日、和歌山県庁で)
 新型コロナウイルスの感染者が増加する中、和歌山県の仁坂吉伸知事は12日、さらなる患者増に備え、医療体制の強化方針を明らかにした。一般病院も活用し、現在の45床から100床程度に増やすほか、症状が回復した陽性者は宿泊施設で療養してもらう仕組みをつくりたいという。

 県内で患者を受け入れる感染症指定医療機関は7病院32床。これと別にまだ稼働していないが、結核モデル病床13床も利用可能にしている。

 県内で入院中の感染者は12日現在21人で、今後、一定数までの増加が見込まれた場合、感染症指定医療機関では一般病床の一部を感染症病床に加えるとともに、重症者だけを受け入れるようにする。一方、一般病院に軽症と無症状者の病床を確保。全体で約100床態勢とする。

 さらに病床が不足する場合は、医療対応が不要になった陽性者について宿泊施設の活用も検討していく。入院していて、症状がなくなった人やもともと無症状で医師が判断した人を対象とし、県が借り上げる宿泊施設に移ってもらい、検査で2度陰性となれば帰宅できるようにする。

 このほか、新型コロナウイルス患者に対応する医師や看護師ら医療従事者の通勤の負担を軽減するため、勤務する病院の近くに宿泊施設を確保し、県が滞在費を負担する。

 仁坂知事は「もし県内で患者が増えてきても、このような態勢を考えているので、県民の方は安心してほしい」と呼び掛けた。

■知事「厳に自粛を」 接客伴う飲食店

 仁坂知事は県民に対し、緊急事態宣言の対象となった7都府県への往来の自粛に加え、「3密」(密閉、密集、密接)の場所への外出の自粛も呼び掛け「特に接客を伴う飲食店などの利用は厳に自粛してほしい」と求めた。

 仁坂知事は8日に「県民の皆様へのお願い」を発表していたが、安倍晋三首相が11日、繁華街への外出自粛要請の対象地域を7都府県から47都道府県に広げると表明したことなどを受け、さらに踏み込んだ。

 また、生活維持に必要な買い物などについては、家族らで行かず、最小限の人数にとどめてほしいとした。

 県内から大阪府など7都府県に通勤する人には、時差出勤や在宅勤務を求めており、会社の理解を得られない場合は、平日午前9時~午後5時45分に県商工観光労働総務課(073・441・2725)に相談してほしいという。

■近所の人は登録助言を 7都府県からの帰省者ら

 7都府県から県内に帰省や転勤などをした人は、2週間の自宅待機と「県帰国者・帰省者・転勤者連絡ダイヤル」(電話=073・441・2170、ファクス=073・431・1800)への登録を求めている。加えて、県ホームページの登録フォーム(https://shinsei.pref.wakayama.jp/Z48m6Uw4)でも対応可能とした。

 さらに、7都府県から帰省や転勤した人を知った家族や近所の人らは登録を助言するか、それが難しい場合はこのダイヤルにその旨を知らせてほしいという。

 連絡ダイヤルには8日の開設後、1日約100人の登録があるという。

■潮岬青少年の家が休館

 県有施設では、新たに休館や一部利用禁止などの対応を取った施設もある。

 紀南では串本町の「潮岬青少年の家」について5月10日までの休館を決めた。このほかすでに、同町の南紀熊野ジオパークセンターも同日までの予定で休館している。田辺市新庄町のビッグ・ユーは通常通り開館しているが、同施設に入る県立紀南図書館は図書などの貸し出しと返却だけ対応している。