和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年05月23日(金)

社会へ「第一歩」 施設や企業で実習始まる、南部高デュアルシステム、和歌山

園庭で遊ぶ子どもたちを見守る堀口虎之介さん(和歌山県みなべ町南道で)
園庭で遊ぶ子どもたちを見守る堀口虎之介さん(和歌山県みなべ町南道で)
クロスを巻く練習をする谷本愛里さん(和歌山県田辺市秋津町で)
クロスを巻く練習をする谷本愛里さん(和歌山県田辺市秋津町で)
 和歌山県みなべ町芝の南部高校普通科で「南高版デュアルシステム」を選択する2年生12人が今月から、地元企業などで実習を始めた。半年間同じ「職場」に通って実習し、将来に生かすための経験を積み重ねる。


 企業での実習と学校での座学とを組み合わせた2年生の選択授業で、社会経験を積んで地域社会で活躍できる人材育成を目指す。普通科に2023年度から導入された。

 実習は前期10回(5~9月)と後期9回(11月~来年2月)の計19回を予定している。前期と後期で実習先を変え、1年間で二つの仕事に従事する。

 前期の実習先はみなべ町、田辺市、白浜町、すさみ町、御坊市、美浜町、日高川町にあるこども園や梅加工会社、自動車整備工場、美容室、菓子店、レジャー施設など。

 みなべ町南道の「みなべ愛之園こども園」(神谷羊子園長)では、堀口虎之介さん(16)が、園外の散歩に付き添ったり、子どもたちと園庭で遊んだり、見守りながら一緒に給食を食べたり、お昼寝の寝かしつけをしたりしている。

 堀口さんは「子どもが好きで、子どもと関わる中で、周りを見て仕事をする力を付けたいと思っている。まだ分からないことばかりだけれど、子どもたち一人一人と向き合って接していきたい」と意気込んでいる。

 神谷園長は「数日だけの職業体験とは違い、半年間の実習は社会に出ることに近い。働くということは楽しいことばかりではないという面も見えてくると思う。いろんな体験をして柔軟に受け止める力を身に付け、社会に出る時の役に立ててもらえれば」と話した。

 谷本愛里さん(16)は、田辺市秋津町のヘアサロン「棗(なつめ)」(堀本隆太店長)で実習。美容師がカットした後の髪の毛を掃いたり、カラー剤を混ぜたり、洗い物や掃除をしたりしている。

 将来、美容関係の仕事に就きたいという谷本さん。「スタッフの方と話すお客さんがすごく笑顔になっている。私は初対面の人と話すのが少し苦手なので、お客さんへの接し方やコミュニケーション能力を身に付けたい」と意欲を見せた。

 堀本店長は「美容師とはどういう仕事なのか、美容師のあり方を見てもらい、谷本さんの将来に少しでも役立ててもらえたらうれしい。お客さんとも積極的に会話していってもらえれば」と話した。