震災後どう生きるか 東北取材し漫画に、和歌山県串本出身の阪本さん出版
和歌山県串本町出身で東京都在住の会社員、阪本繁紀さん(32)が東日本大震災を題材にした漫画「ある光」を自費出版した。「津波から逃げ切って終わりではない。その後も人生は続く。甚大な被害を受けたまちで、どうやって前を向いて生きるか。東日本から学ぶことは多い」と話している。
「ある光」は福島県いわき市が舞台。進路に迷ったり、恋愛したりとどこにでもいる女子高校生が、震災に遭い、心に傷を抱えながらも希望を持って生きる姿を描いている。662ページ。
大きな揺れや津波が襲来するシーン、避難所の生活などをリアルに表現しながら、それ以外の高校生活も丁寧に描いている。「震災は誰の人生にも突然、理不尽に襲ってくるかもしれない。災害列島でどう生きるかを1人の女性の前半生を通じ考えてほしい」と意図を明かす。
2011年3月11日の東日本大震災発生時は、和歌山市の私立高校3年生だった。ニュースで見た津波の光景に「日本が終わってしまうのではないか」と恐ろしさを感じた。しかし、進学で上京し、震災の影響をほとんど感じることなく新しい生活が始まった。
12年夏に友人とレンタカーで東北を巡り、1年たっても変わらぬ被災地を目の当たりにした。ショックを受けたし、もやもやを抱えたが、どこかまだ遠くの出来事でもあった。
大学卒業後、和歌山に戻って県職員となった。串本町で津波対策の事業に携わり、防災が一気に身近になった。そこで「もっと自分にできることがあるのではないか」と感じるようになり、20年3月で退職した。
その後、東北の被災地をレンタカーで約2週間かけて回った。以前訪れた時とは、風景が変わっていた。高さ10メートルの防潮堤ができた町では「海が見えなくなった」と不満を口にする住民もいた。「震災後のまちづくりとは何か」。考えさせられた。
東京に本社のある建設専門紙の記者となった後も、休みを利用していわき市に通った。「いわき震災伝承みらい館」で語り部に話を聞いたり、自転車で海沿いを走って背景用の写真を撮影したりと1年がかりで下調べし、脚本を練った。関係者へのインタビューや取材記事も収録。24年8月に出版した。
阪本さんは「漫画を通じ、震災を知らない世代も追体験できる。ふるさと串本町をはじめ、紀南地域で南海トラフ地震への備えに役立てればうれしい」と話している。
漫画「ある光」は創作物の販売サイト「BOOTH(ブース)」で購入できる。1冊1500円(税込み)。問い合わせは阪本さん(070・1065・2937)へ。
「ある光」は福島県いわき市が舞台。進路に迷ったり、恋愛したりとどこにでもいる女子高校生が、震災に遭い、心に傷を抱えながらも希望を持って生きる姿を描いている。662ページ。
大きな揺れや津波が襲来するシーン、避難所の生活などをリアルに表現しながら、それ以外の高校生活も丁寧に描いている。「震災は誰の人生にも突然、理不尽に襲ってくるかもしれない。災害列島でどう生きるかを1人の女性の前半生を通じ考えてほしい」と意図を明かす。
2011年3月11日の東日本大震災発生時は、和歌山市の私立高校3年生だった。ニュースで見た津波の光景に「日本が終わってしまうのではないか」と恐ろしさを感じた。しかし、進学で上京し、震災の影響をほとんど感じることなく新しい生活が始まった。
12年夏に友人とレンタカーで東北を巡り、1年たっても変わらぬ被災地を目の当たりにした。ショックを受けたし、もやもやを抱えたが、どこかまだ遠くの出来事でもあった。
大学卒業後、和歌山に戻って県職員となった。串本町で津波対策の事業に携わり、防災が一気に身近になった。そこで「もっと自分にできることがあるのではないか」と感じるようになり、20年3月で退職した。
その後、東北の被災地をレンタカーで約2週間かけて回った。以前訪れた時とは、風景が変わっていた。高さ10メートルの防潮堤ができた町では「海が見えなくなった」と不満を口にする住民もいた。「震災後のまちづくりとは何か」。考えさせられた。
東京に本社のある建設専門紙の記者となった後も、休みを利用していわき市に通った。「いわき震災伝承みらい館」で語り部に話を聞いたり、自転車で海沿いを走って背景用の写真を撮影したりと1年がかりで下調べし、脚本を練った。関係者へのインタビューや取材記事も収録。24年8月に出版した。
阪本さんは「漫画を通じ、震災を知らない世代も追体験できる。ふるさと串本町をはじめ、紀南地域で南海トラフ地震への備えに役立てればうれしい」と話している。
漫画「ある光」は創作物の販売サイト「BOOTH(ブース)」で購入できる。1冊1500円(税込み)。問い合わせは阪本さん(070・1065・2937)へ。