和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年03月28日(金)

長谷川さんが絵本ライブ

デビュー作「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」の絵本を読み聞かせする長谷川義史さん(和歌山県串本町串本で)
デビュー作「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」の絵本を読み聞かせする長谷川義史さん(和歌山県串本町串本で)
 大阪を拠点に活動する人気絵本作家、長谷川義史さん(63)の「絵本ライブin串本」が15日、和歌山県串本町串本の町文化センターであった。訪れた子どもから大人までの約600人が、ユーモアあふれる絵本の語りや歌を楽しみ、絵本に込められた「命や平和」について心に留めた。

 長谷川さんは大阪府藤井寺市の生まれで、幼少期から絵を描くことが好きだった。デザイナーやイラストレーターを経て、2000年に絵本作家としてデビュー。毎日放送「ちちんぷいぷい」の旅コーナー「とびだせ!えほん」に出演し、約10年間各地を訪れスケッチ散策で人気を博した。ユーモラスでおおらかな絵本の作風は大人にも人気が高い。

 絵本ライブで長谷川さんは、ウクレレの弾き語りなどを織り交ぜながら、6冊の絵本を読み聞かせた。デビュー作の「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」は、5歳の男の子が「おじいちゃんのお父さんはどんな人」「ひいおじいちゃん、ひいおじいちゃんのひいひいおじいちゃんはどんな人」と祖先を訪ねて自分のルーツを探り回る物語。ページをめくるたびに増える「ひい」の文字に長谷川さんは息を切らせながら、絶妙な間合いで「一人の人生を『ひい』で片付けているのです」と話し、会場の笑いを誘った。

 長谷川さんは、絵本の創作背景についても語り「人はつながりの中で生きている。命を大切に、平和な世の中を次の世代にバトンタッチする必要がある」と訴えた。

 ほかにも、代表作「大阪うまいもんのうた」を読みながら、筆を使って絵を描くパフォーマンスもあった。「大阪にはうまいもんがいっぱいあるんやで」の声かけとともに、名物のたこ焼きや豚まんなどを表す手遊びを即興で描き、体現しながら歌にかえた。

 すさみ町に住む50代女性は「長谷川さんの人柄がにじみ出た絵本ライブだった。以前からファンだったので、聴けてうれしかった」と話した。