和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年02月19日(水)

ミツバチさん待ってるよ

ミツバチの巣箱を作る参加者(和歌山県みなべ町清川で)
ミツバチの巣箱を作る参加者(和歌山県みなべ町清川で)
 ニホンミツバチの保護活動に取り組む住民団体「梅の友ミツバチ保存会」(下村勤会長)は19日、和歌山県みなべ町清川のみなべ川森林組合の作業場で、呼びかけに応じた住民と一緒にニホンミツバチの巣箱作りに励んだ。参加者は完成させた巣箱をそれぞれ持ち帰り、自宅周辺の梅畑などに設置する。

 ニホンミツバチは、花の受粉を助けるなど梅の栽培で重要な役割を果たすが、減少している。保存会は少しでも増やそうと、2020年に巣箱の設置活動を開始。22年から住民と一緒に作る機会を設けている。

 今回は、国から「SDGs(持続可能な開発目標)未来都市」に選ばれたみなべ町で、町民が主体的にSDGsについて学ぶ「梅ラーニングコモンズ」の「ミツバチと生物多様性」グループが共催した。

 世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」の認定エリアである同町と田辺市の住民を対象に巣箱作りの参加を呼びかけた。

 この日は午前と午後の部に両市町から合わせて31人が参加。住民は下村会長の指導の下、用意されたスギ板を電動ドライバーを使って組み立てた。

 巣箱は幅、奥行き、高さともに30~40センチの大きさで1人1箱ずつ完成させた。

 参加した梅農家、芦硲真弓さん(65)=同町熊瀬川=は「ミツバチが少ないので少しでも増やさないとと思い参加した。いい巣箱ができて良かった」と話す。

 下村会長は、巣箱の入り口に誘引剤をつるすことや南向きに置くことなどを説明。「これまで設置した巣箱にニホンミツバチが入った事例が報告されている。入ったら連絡してください」と呼びかけた。

 設置後は市役所や町役場に届け出る。ミツバチが入れば、保存会事務局の森林組合に報告してもらう。

 日高地方への教育旅行の誘致に取り組む日高振興局の小路哲生局長は「今年10周年になる世界農業遺産は教育旅行の素材になると思う。ミツバチを増やす取り組みなど、もっと多くの人に知ってもらいたい」と話していた。

 下村会長は「多くの人が協力してくれ、感謝している。ニホンミツバチを少しでも増やせるよう、今後も取り組んでいきたい」と話している。