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2024年11月23日(土)

【RIZIN】“進化の止まらない37歳”久保優太「シェイドゥラエフを倒して鈴木千裕選手とタイトル戦を!」

久保優太 (C)ORICON NewS inc.
久保優太 (C)ORICON NewS inc.
 大みそかに開催される『RIZIN DECADE』の第3部『RIZIN.49』にて、ラジャブアリ・シェイドゥラエフと対戦が決定した久保優太。カード発表会見では「このシェイドゥラエフを乗り越えて、僕は来年絶対にRIZINフェザー級で王者になりたいと思っている」と王座獲得のための“最短ルート”として、この試合に挑む。

【写真】シェイドゥラエフ、鈴木千裕、そして平本蓮について語る久保優太

 シェイドゥラエフはMMA10戦10勝、しかも全てフィニッシュ勝利という戦績を引っ提げてRIZINに参戦すると、6月に武田光司、9月にはフアン・アーチュレッタに、ともに1ラウンドで一本勝ち。まさに怪物と呼ぶにふさわしい圧倒的な強さを誇り、久保も現時点では「勝率は薄いかもしれない」と劣勢を認めている。

 では大会まで残り1ヶ月半の間に、どのような練習を重ねて、どんな作戦でシェイドゥラエフと対戦するのか。ORICON NEWSは会見直後の久保に直撃インタビューを実施。久保もシェイドゥラエフに負けじと現在MMAで5連勝中、しかも元修斗チャンピオンの高橋遼伍や斎藤裕にも勝利して勢いに乗っているだけに、控えめながらも確かな自信というオーラを放ちながら、じっくりと意気込みを語ってくれた。

■「今やったら100%勝てない(苦笑)」そこから積み上げ、大みそかに勝つには…

――久保選手はMMAを「挑戦」というテーマで戦っていらっしゃいますが、さすがに今回のシェイドゥラエフという“壁”は、かなり高いと感じていますか?

【久保】そうですね(苦笑)。でも、高橋遼伍選手に挑戦するときも、斎藤裕選手に挑戦するときも、周りから「早いだろ」って言われてきて、自分でもそう言われるのは当然だと思いますが、その方が挑戦しがいがあるし、僕は試合が決まると3倍速くらいで強くなってしまうので(笑)。大みそかも『超RIZIN.3』の久保優太とは別人になっているので、そこは見てくださるファンの方に期待してもらいたいです。

――以前に「試合前は不安が多いけど、それを練習で埋めて試合当日は勝率を50:50くらいに持っていく」と語っていましたが、現時点でのシェイドゥラエフに勝てる確率は?

【久保】(即答で)今やったら100%勝てないです(笑)。明日試合しろって言われたら勝ちようがないけど、残り1ヶ月半で50%までは持っていけると自分自身で信じているし、そうじゃなきゃ挑戦って言わないです。挑戦する方が人生は面白いじゃないですか。

――シェイドゥラエフに勝つために練習を積み上げる、その道筋はもう見えていますか?

【久保】そうですね。もう追い込みでたくさん練習してボロボロになってますが、それが「格闘技をやってるぜ」って感じで楽しいですし、来月になって減量を始めて疲労も重なってくると、メンタルも落ち込んでつらくなっちゃうんですけど、それを乗り越えた先に勝ち筋が見えてくると信じています。

――RIZINで2試合連続一本勝ちのシェイドゥラエフですが、弱点はあるんでしょうか?

【久保】相手の弱点を見つけるというか、僕は誰に対してもMMAの舞台で自分のやってきたキックボクシングをやるだけなんですよ。それが僕の戦い方で、例えばシェイドゥラエフ対策で今から柔術をやったって勝てるワケないですから。あくまで自分の得意なキックボクシングをできるように持っていく、それで高橋選手にも斎藤選手にも勝てました。自分の武器も弱点も俯瞰で見えているので、自分のやるべきことをやるだけです。

――対戦相手は久保選手の戦い方を分かっているのに、止められない。だからこそ、久保選手にはまだまだ底知れない強さを感じてしまいます。

【久保】ありがとうございます。そう言っていただけると、次も頑張れそうです!

■立ち技で頂点に立つもMMA転向に苦労「何度MMA辞めようと思ったことか…」

――MMAで外国人ファイターと対戦するのは初めてですが、日本人と外国人で戦い方に違いは感じますか?

【久保】K-1でデカい外国人と散々やってきて、あんまり違いはないと思いますが、1つだけ挙げるなら日本人の方が根性はありますね。最後まで諦めないで粘る、ダメージを受けても顔に出さない、そんな気持ちの強い選手が多いと思います。あとは、『超RIZIN.3』のときは会見や公開練習がいっぱいあって、何度も対戦相手と顔を合わせていましたけど、外国人相手だとそういうのが少なくて戦いにフォーカスできるので、気持ち的に楽ですね。

――現在MMAで5連勝中、しかもベテランの高橋選手や斎藤選手にも勝利していますが、久保選手がMMAファイターとして何か覚醒するポイントはあったのでしょうか?

【久保】自分はキックボクシングで世界のトップになりましたけど、MMAはやることがすごく多くて、自分の打撃技術から「今はこれが使える」「これは使えない」っていう取捨選択がすごく大変な作業で、K-1から転向した直後は正解を手さぐりで探している状態でした。それを弟と一緒に試行錯誤しながら少しずつ積み上げてきて、徐々に試合で正しい選択ができるようになってきたので、どこで覚醒したっていうポイントがあったわけではないんです。

――日々の積み重ねが少しずつ実を結んだ結果ですね。

【久保】莫大な情報量と実践によって、今はストライカーがMMAで強くなるための最短ルート「久保ロジック」を見つけたので、今度は自分が指導者としてメソッドを教えてあげたいと思っています。

――K-1やGLORYなど立ち技でトップになった久保選手が、MMAに転向して最も苦労したこととは?

【久保】技術というより、今まで自分やってきたことが通用しなくて、MMA練習でジムの一般会員さんにもボコボコにされて、現実を突きつけられてメンタルがガラガラと崩れたときは、かなりつらかったです。僕はK-1もGLORYも両方のベルトを取って、圧倒的な実績で自信やプライドもあったのですが、MMA練習ではアマチュアの選手にも一本取られまくってしまう。自分が真っ向から否定されたことがすごくショックで、心の中では何度MMA辞めようと思ったことか…。

――立ち技の頂点を知っているだけに、メンタルのダメージは余計に大きそうですね。

【久保】そして“例の事件”(※2021年大みそかの試合)があって、僕の評価はマイナスにまで落ち込んでしまったので。そうなったらもうプライドを持つ必要がなくなって、あとは自分のやってきたことを証明するだけで、上を見るしかないという状況になったことは、大きな転機になったかもしれないです。

■「最短距離で鈴木千裕選手のベルトを取りにいく。平本蓮選手には興味がないです」

――先日の名古屋大会で勝利した芦澤竜誠選手が「キックボクサーがMMAでテイクダウンディフェンスして、立てればこっちの勝ちです」とアピールしていました。UFCでもキック出身のアレックス・ペレイラやイスラエル・アデサニヤが王者になるなど、ストライカーがMMAを席巻しています。この流れは今後も続くと思いますか?

【久保】そうですね。今のMMAの判定基準では寝かせてポジションを取るだけではポイントにならないですし、ブレイクのタイミングなどルールの面でもストライカー有利という流れはあります。僕の中でMMAって、異なるバックボーンを持った選手たちによる異種格闘技戦で、UFC初期みたいに空手家やレスラーが自分の得意技で勝つっていうのが原点だと思うんです。だから、自分はMMAファイターとしてトータルに底上げするんじゃなく、自分の持っているキックボクシングの技術を使って勝つことを目標にしています。

――キックで世界のトップに立った久保選手でも、長い時間をかけた試行錯誤でMMAファイターに転向されましたが、キックとMMAの二刀流を宣言して実際にKNOCK OUTのベルトを持ちながらRIZINのベルトも獲得した鈴木千裕選手は、規格外ということでしょうか?

【久保】とてもすごいことだと思います。ただ、鈴木選手ってデビューはMMAじゃないですか【※2017年にパンクラスでプロMMAデビュー】。だから僕は逆に、KNOCK OUTのベルトを総合格闘家に取られてしまった、という見方なんです。立ち技出身として僕はそれが悔しいし、KNOCK OUTの選手たちに「何やってるんだよ」って正直思います。立ち技の競技者が、一番得意な部分で勝負して負けてるわけですから。僕はMMAっていう何でもありの舞台、オスとしての最強を決めるのに最も近い競技だと思っていて、そこに立ち技でトップを取った自分が挑戦していくことにロマンを感じています。だからMMAファイターからすると「久保になんか負けるな」って思ってるだろうし、僕は立ち技のKNOCK OUTのベルトが総合格闘家に取られて、RIZINと両方の王者になってるんだから、すぐにキックの選手がベルトを取りにいってほしいです。

――久保選手はあくまで立ち技からの視点なんですね。

【久保】だからこそ、僕は鈴木千裕選手に勝ってRIZINのベルトを取りたいですし、自分は勝算があるなと思っています。大みそかにクレベル・コイケ選手とタイトルマッチがありますが、自分ができるなら千裕選手とタイトルマッチをやって、キックボクサーの権威を取り返すという気持ちです。

――実現したらとても楽しみな試合になりますね。フェザー級では同じくK-1出身で打撃をベースにしたストライカーの平本蓮選手もいて、朝倉未来さんに勝ったことで非常に人気も注目度も高いですが、久保選手は平本選手をどう見ていますか?

【久保】平本選手はRIZINのベルトを狙っているんですかね、どうなんだろう?ベルト戦線にはあんまり関係ないというか、興味を持っていないと思います。もちろん話題性も人気もめちゃくちゃあるので、いろんな意味で注目されているので、次に平本選手と試合が決まった相手はすごく“おいしい”ですよね。でも僕はそこを求めるより、今37歳で時間がないので一戦一戦を無駄にしたくない。だから無謀だとか早いとか言われているシェイドゥラエフ戦に挑戦するし、そこに勝って最短でベルトを取って、自分がやってきた立ち技の技術を使ってMMAの王者になるという目標を実現させたいんです。そこを掴むために最短距離で行くには、シェイドゥラエフは避けて通れないので、平本選手は正直興味がないです。

――最後の質問となりますが、今回の入場も愛するサラさんが歌うのでしょうか?

【久保】もちろんです!今回も気合を入れて歌ってくれます。僕はサラちゃんが大好きで、自分のカッコいい姿を一番近くで見てもらうのが何よりのモチベーションなんです。皇治選手は「モテてしゃーない」って言ってますけど、僕はサラちゃんだけにモテたいんです(笑)。不純な動機かもしれないですけど、ずっとサラちゃんを追い続けたいし、好きな人に惚れてもらいたい。これが一番の戦うためのモチベーションです!

――不純というより、むしろ純粋すぎます!

●『RIZIN DECADE』12月31日 さいたまスーパーアリーナ
◆第1部対戦カード
・RIZINスタンディングバウト特別ルール:2分 8ラウンド 69.4kg
ライアン・ガルシア vs. 安保瑠輝也

◆第3部『RIZIN.49』対戦カード
・フェザー級タイトルマッチ
【王者】鈴木千裕 vs. 【挑戦者】クレベル・コイケ
・フェザー級
久保優太 vs. ラジャブアリ・シェイドゥラエフ
・ヘビー級
貴賢神 vs. エドポロキング
・ライト級
矢地祐介 vs. 桜庭大世
・フェザー級
YA-MAN vs. カルシャガ・ダウトベック
・ヘビー級
上田幹雄 vs. キム・テイン

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提供:oricon news