和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年06月18日(火)

フリマアプリで「買い物依存症」に? “勝ち組”ワーママが会社の備品を転売…、「お得!」の喜びが脳に与える影響

『満タサレズ、止メラレズ』1話『買い物依存 ワンオペ・ワーママ前編』(C) 駒井千紘/ソルマーレ編集部
『満タサレズ、止メラレズ』1話『買い物依存 ワンオペ・ワーママ前編』(C) 駒井千紘/ソルマーレ編集部
 いまや多くの人々が便利に使っているフリマアプリ。欲しかったものをお得に買うこともできれば、使わなくなったものを売ることもできる。賢く利益を出すことも可能だが、ゲーム感覚でハマりすぎると恐ろしいことに…。そんな現代ならではの“買い物依存”を描いたのが、オムニバス漫画『満タサレズ、止メラレズ』だ。背景にあったワンオペママの苦しみ、そして「誰にでも起こり得る」その怖さを、作者の駒井千紘氏に聞いた。

【漫画】「怖すぎる!」「私もヤバイ…」勝ち組ママが会社の備品をフリマアプリで転売、その末路は?

■「20代で結婚して子どももいる勝ち組」のはずが…、ワーママの心の隙間

 身近に潜むさまざまな依存症を扱ったオムニバス漫画『満タサレズ、止メラレズ』(コミックシーモア(C) 駒井千紘/ソルマーレ編集部)が話題を呼び、このたびドラマ化されることになった(ABCテレビ 6月23日 後11:55~)。大谷翔平選手の元通訳が起こした巨額横領事件が世を騒がせる中、背景にはギャンブル依存症があったことが示唆されているが、作者の駒井千紘氏は「依存症は遠い世界の話ではなく、誰もがなる身近な“病気”だと知ってほしい」と語る。コミック1・2巻(『買い物依存 ワンオペ・ワーママ前後編』)と、ドラマの主なストーリーとして扱われるのは、フリマアプリをきっかけに買い物依存症に陥っていくワーキングマザーのケースだ。

 依存症は意志が弱く、だらしのない人がなるもの──。そうした誤解と偏見がつきまとうが、『満タサレズ、止メラレズ』を描くにあたって取材を重ねてきた駒井先生は「そういった先入観は危険」と語る。

 「真面目で責任感が強いがゆえに心も体も疲れ切ってしまい、それを埋め合わせるために手を出した“何か”によって依存症に陥ってしまうケースはとても多いんです。『ほどほどで止めればいい』ではなく、自分でも気付かぬうちにジワジワと脳の回路が壊れ、やがてコントロールが効かなくなるのが依存症という病気です」

 主人公は、年下の夫とともに働きながら2人の子どもを育てているワーキングマザー。後輩には「20代で結婚して子どももいる勝ち組」と言われているが、現実はワンオペ育児に振り回され、会社でも保育園でも謝ってばかりの日々だった。そんな彼女がふとしたきっかけでフリマアプリにハマり、買い物依存症に陥っていく様子が描かれる。

 「買い物依存症というと、一昔前は『ブランド品を買い漁り、借金の山』といったイメージがありましたが、問題は金額だけでなく行為そのものがやめられないことです。特にフリマアプリは『お得に買い物ができた』といううれしさが脳の報酬系を刺激しやすい構造にあると指摘されています。指1本で買い物ができるだけに忙しい主婦には便利ですが、身近で手軽なものほど依存リスクが潜んでいることは、知っておいたほうがいいかもしれません」

 やがて依存対象のことしか考えられなくなり、人間関係や社会生活が破綻してしまうのが、依存症の典型的な症状だ。同作の主人公もほんの出来心から会社の備品を転売し、それがバレて解雇となる。

 「依存症は犯罪に繋がることも多く、それゆえに『甘えだ』などと断罪されがちです。また家族も『恥ずかしい』と隠すため、重症化するケースがとても多い。犯罪などの重大な事態になって、ようやく治療に結びつくということも少なくありません」

 コミックには、自助グループやカウンセリングによって「依存の根本原因」を紐解いていくシーンも盛り込まれている。駒井氏は、「子ども時代の親子関係に起因する愛着障害を抱えた人が、生きていくために何かに依存せざるを得なかったというケースは多い」という。

 「『買い物依存』の主人公は、家事に育児に仕事に手一杯になりながらも、夫にSOSを出せないでいました。幼い頃に親から『しっかり者のお姉ちゃん』という役割を強いられていた彼女は、自分の本音を抑圧して相手に合わせるようになってしまったんです。さらに『理想の母親像』といった社会的なプレッシャーも、1人で問題を抱え込む原因となっていました」

■「自分がもしも依存症になるとしたら、その対象は何か?」を想像してほしい

 依存症への偏見や誤解をなくし、正しく理解することで治療にアクセスしやすい風潮を作ること。それがひいては自分も大切な人も救うことになる。駒井氏はそんな思いを本作に込めている。

 「依存症は一度かかると完治はないと言われている病気なので、どのエピソードも都合のいいハッピーエンドは描けませんでした。そのせいか『怖かった』という感想をいただくことが多いのですが、『他人事ではない』と受け取っていただけた証なのかなとポジティブに受け止めています。

 さらに踏み込んで、『自分がもしも依存症になるとしたら、その対象は何か?』と想像してみていただけたらうれしいですね。『自分は絶対にならない』と思い込んでいる人ほど、いざ依存症になったら重症化しやすいということも併せて知っておいていただきたいと思います」

(文:児玉澄子)

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