和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年11月30日(火)

米軍機墜落から平和の尊さ学ぶ 龍神中学、映画上映と講演

生徒を前に講演する古久保健さん(和歌山県田辺市龍神村安井で)
生徒を前に講演する古久保健さん(和歌山県田辺市龍神村安井で)
 和歌山県田辺市龍神村安井の龍神中学校は6日、1年生を対象にした平和学習を学校近くの龍神市民センターで開いた。講師に龍神村殿原の郷土史家、古久保健さん(82)を招き、戦争の悲惨さや平和の尊さとそれを受け継いでいくことの大切さを学んだ。

 生徒は最初に、大阪芸術大学の学生らが作ったドキュメンタリー映画「轟音(ごうおん)」の再編集版を見た。太平洋戦争末期の1945年5月5日、米軍爆撃機が殿原の山中に墜落した。映画はこれを題材に、死亡した米兵の慰霊を住民が続けていることや、古久保さんが墜落の史実を長年研究していること、古久保さんと米兵の遺族との交流なども取り上げている。

 搭乗の米兵11人中7人が亡くなり、4人がパラシュートで降下して2人が龍神で捕まり、2人は中辺路で捕まった。映画では生存の米兵に白米のおにぎりを提供したこと、村人たちが現場で遺体を数日かけて埋めて翌月には初供養を営んだこと、当時は敵兵の供養は異例だったことなども描いている。関係者の手助けにより、古久保さんが米兵の遺族を捜し当てて米国まで出向いて対面した場面もあり、戦争の苦しさ、悲惨さ、平和を身近な問題として考える内容になっている。

 映画の後、講演した古久保さんは、現在は広島に投下された原爆をはるかに上回る破壊力のある核兵器があり、一人一人が平和について語り継いでいかないと、また戦争になると述べた。兵士から家族へ宛てた手紙についても取り上げ、検閲を受けて真実が届かないことがあり、それが戦争の側面でもあると説明した。