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2021年09月18日(土)

水質浄化の新会社設立へ 田辺市に世界展開のポリグル社

水質浄化剤できれいにした水を持つポリグルソーシャルビジネスの小田兼利会長(右)と、浄化剤を入れる前のアオコが入った水を持つ辻本裕一さん
水質浄化剤できれいにした水を持つポリグルソーシャルビジネスの小田兼利会長(右)と、浄化剤を入れる前のアオコが入った水を持つ辻本裕一さん
 独自に開発した凝集剤で途上国の水質浄化に貢献する企業「ポリグルソーシャルビジネス」(本社・大阪市)が近く、和歌山県田辺市中屋敷町に新たな水質浄化会社を立ち上げる。今後、市内に「海洋研究所」(仮称)を設立し、陸上養殖や災害時の水問題の解消、海の環境浄化事業などを展開していく計画。


 ポリグル社の小田兼利会長(80)は大手メーカーでエンジニアとして活躍。水の浄化に関心を持つようになったのは1995年の阪神大震災だった。神戸市の自宅で生活用水の確保に困った経験から、池の水をきれいにして使えたら助かるのではないかと考えて研究を始めた。

 納豆のネバネバ成分であるポリグルタミン酸を活用した水質浄化剤を開発したのを機に2002年、日本ポリグルを設立。飲料水を供給できるビジネスモデルを構築してアフリカなど80カ国に輸出して水質浄化に貢献、評価を受けている。タイのスマトラ沖地震による被災や、バングラデシュのサイクロン被害などの際にも活用された。12年にはポリグルソーシャルビジネスを創業した。

 小田会長は長年、紀南地方に釣りに訪れていた縁があり、17、18年は、みなべ町内で講演した。その後、大病を患い、お世話になった和歌山の自然に恩返ししたいという思いになったという。

 小田会長の取り組みに共鳴したみなべ町晩稲、辻本裕一さん(45)は、勤務しているIT会社を退職し、ポリグル社の事業に参画することにした。辻本さんは、田辺に立ち上げる会社の代表に就く。

 ポリグル社はこのほど、「浄化剤を活用した広域浄化システム」を特許申請した。海洋環境では、微細プラスチックや重油、浮泥などの回収事業に取り組んでいく。災害時の水問題の解決にも取り組む。

 大量発生で農業被害を及ぼすなどしているバッタを飼料とし、ポリグル社の水質浄化技術も活用した陸上養殖事業の計画を海外で展開しようと考えている。他社とも提携して、事業展開する。市内では陸上養殖事業の研究もする計画。

 小田会長はこのほど、みなべ町内であった集まりでこうした構想を明らかにし「今後、本拠地を田辺市に移したいと思っている。外国の研修生を受け入れることも考えており、海外から田辺やみなべに人が来るようになると思う。皆さん協力してください」と語った。

 辻本さんは「会長がやっていることは素晴らしいと受け止め、こういう活動に携われたらいいなと思っていたら、巡り合いでこういう形に至った。事業を継続し、世界の水問題や貧困の解消に取り組んでいきたい」と話した。